
トランプ・ゼレンスキー会談
異例の激しい応酬の末、決裂
ウクライナの停戦交渉を主導するトランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談は、メディアの前で、双方が激しく応酬する口論の末、決裂で終わった。
会談では、ウクライナの鉱物資源供給と米国の何らかの形での支援継続が合意されるとの予想が強かったが、米国が、侵略したロシアに有利な条件での停戦を模索していることへの疑念をゼレンスキー氏が語ると、トランプ氏が「(米国への)感謝が足りない」「お前たちは勝てない」「第3次世界大戦を起こす危険を招いている」と激しく反発、罵倒した。
会談の決裂で、ロシアの再侵攻を防ぐための「安全の保証」を米国から取り付けることに最大の狙いがあったゼレンスキー氏の思惑は外れ、大きな後ろ盾を失いかねない状況だ。だが同時にトランプ氏が目指すウクライナの停戦実現も一気に不透明感が増すことになった。
だがこうした両氏の綱引きに、既視感があるのは自分だけだろうか。
ゼレンスキー氏がトランプ氏と相対するのは今回が初めてではない。第1次トランプ政権の最後年、ゼレンスキー氏は大統領になった。そこで起こったのが「ウクライナゲート」だ。
その時以来、「トランプ劇場」と「ゼレンスキー劇場」は続いてきた。
そして筆者が感じるのは、むしろ「ゼレンスキー劇場」の演出の巧みさだ。