「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノ―ト』が発刊されました。本記事では著者である萩原礼紀氏のインタビュ―記事をお届けします。

老後にギスギスしてしまう親子
頻繁に受ける相談の1つに「老いた親といつもケンカになってしまう」というものがあります。加えて、親側からも「子どもとつい言い合いになってしまう」と相談を受けます。
このことからもわかるとおり、親も子も「ケンカをしてしまう」というのは大きな悩みです。特に親が老いてきた場合などは、同居していないことも多いでしょうから、帰省などのタイミングでいろいろと用事を済ませようとしてケンカになりがちです。
こういった親子に見られるコミュニケーションとして多いのが、意図せず「指摘しあう会話」になっているケースです。
たとえば、子どもから老いた親にいう言葉として、「どうして言っておいたことやってないの?」「こんな時間に出かけるの危ないよ」「困ったことがあったら連絡してって言ったじゃん」のような、言われた側が責められているような話し方に気づかぬうちになってしまっていることがあります。
もちろん、発言の内容そのものにはなんの問題もありません。むしろ、老いた親のことを思っているからこその発言でしょう。
立場をかえて、老いた親から子への発言も見てみましょう。「〇〇ちゃん(孫)の進学のことはちゃんと考えているの?」「仕事ばかりして大丈夫なの?」などの言葉がそれらに該当します。
これももし自分が子ども側だとしたら「大丈夫だって!」と誰もが突っぱねたくなるでしょう。こちらも先ほど同様に心配しているからこその発言ですが、言い方が悪いがゆえにトラブルになりがちです。
要するにギスギスしてしまう親子の特徴として、お互いの行動を指摘し合うような話し方になってしまっているのです。