老後になっても仲良しでいられる親子の特徴

 対して、老後になっても仲良くしていられる親子はお互いに「チクチク言わないコミュニケーション」をとっています。

 先ほどの子どもから親への例だと、「困ったことがあったらいつでも連絡して。手伝えることもあるかもしれないから」のように、発言の意図がわかるような伝え方をしています。

 この伝え方であれば、指摘ではなく「手伝いたい」という良心で発言していることがわかるでしょう。

 親子の会話となると、お互いに遠慮がないため、こういった発言の背景を省いて会話してしまいがちです。

 たとえば、「次はいつ帰ってくるの?」という質問も、これだけ言われると「帰省を催促されている」ように感じてしまいます。ですがこれを「次はいつ帰ってくるの? 来るときはごはんとか用意したいから教えてね」と伝えれば、それが催促でないことは容易に伝わるでしょう。

 避けるべきは「そんなつもりないのに悪く伝わってしまうこと」です。これほどもったいないことはありません。

 大抵の親子のコミュニケーションはこのちょっとした工夫をするだけで劇的に改善されます。ギスギスした関係をつづけていると、病気や怪我などお互いになにかあったときでも連絡を取りあえず困ることが多いので、日頃から少しだけ意識してみてください。

 私が日頃、ケンカばかりしてしまう親子に伝えるのは「本当に不幸な親子はコミュニケーションすら取らなくなってしまう」ということです。ケンカをするということは、互いにまだ大事に思う心があるからです。それであればまだまだ仲良くなる余地はあります。

 この記事を読んでいるのが親御さん側であってもお子さん側であっても、まずは自分からこの意識でコミュニケーションをとってみてください。

萩原礼紀(はぎわら・れいき)
国内最大クラスの訪問看護・リハビリ・デイサービスを提供する株式会社ゴルディロックスの創業者兼共同代表
日本大学板橋病院で経験を積んだのち独立。現在も経営者として訪問看護・リハビリ・デイサービス事業を展開するだけでなく、専門医に相当する専門理学療法士(基礎・運動器)として、利用者やその家族と現場で携わっている。業界内での信頼も厚く、業界全体の若手理学療法士の育成や教科書作成にも関わっている。医療の道に進んでからの25年間で直接診察した患者の数はのべ18万人を超える。