春闘第1回集計「5.46%賃上げ」で前年超え、実質賃金“下落継続”は本当かPhoto:PIXTA

春闘賃上げ率2年連続で5%台!?
日本経済はデフレ宣言できる状況

 内閣府によると、2024年10~12月期の実質GDPは3四半期連続のプラス成長だった。米トランプ政権の関税政策などで外部環境が不安定化する中、国内の景気動向を占う上で重要性を増しているのが実質賃金だ。

 毎月勤労統計調査(厚生労働省)によると、実質賃金指数は24年5月まで26カ月連続で前年比マイナスだった。6月以降は賞与の押し上げで一時的にプラスに転じた時期があるものの、賞与を除くベースでは直近の25年1月まで36カ月連続のマイナスだ。25年1月以降も下落基調が続くとの見方もある。

 だが、実質賃金指数よりも経済実態を表すのは、国民経済計算(GDP統計)の実質雇用者報酬だ。

 実質雇用者報酬を1人当たりで見ると、実は24年4~6月期から3四半期連続の前年比プラスで、10~12月期は同+2%程度まで加速した。働き手の所得環境は実質賃金指数で見るよりも改善が進んでおり、個人消費などを下支えしている。

 25年春闘は3月14日の連合の第一回集計で平均賃上げ率は5.46%と、昨年同時期を0.18%上回り、最終的には前年並みの5%台になる可能性がある。 今後、一部食料品の価格高騰が落ち着いていけば、実質賃金指数も上昇基調が明確になるとみられる。

 政府は「デフレ脱却宣言」に慎重だが、日本はインフレ経済に転換したとみるべきだろう。