春闘高賃上げでも実質賃金上昇「0%程度」で固定化!?消費回復にまずは円安修正をPhoto:PIXTA

トランプ関税と個人消費低迷
日本経済の先行きは「内憂外患」

 先行きの日本経済は、まさに「内憂外患」の状況にある。

「トランプ関税」は、いよいよ本丸ともいえる日本の対米自動車輸出をターゲットに捉え始めた。対米自動車輸出に25%の関税が課される場合には、日本の実質GDP(国内総生産)を0.2%程度押し下げることが考えられる。

 一方、国内では個人消費の低迷が続いている。2024年10~12月期GDP統計・1次速報値で、実質GDPは前期比年率+2.8%と上振れたが、これは内需の弱さを反映してGDPの控除項目である輸入が大幅に減少したことの影響が大きい。他方で10~12月期の実質個人消費は、前期比+0.1%と低迷した。

 昨年の春闘では、賃上げ率は予想外に上振れ、当初はこれが個人消費の本格回復につながるとの楽観的な見通しも強まった。しかし不正認証問題による自動車生産・販売の減少の反動から、夏場にかけて個人消費は一時的に持ち直す動きを示したが、年末にかけては再び下振れた。

 実際には、1年を通じて見ると個人消費は低迷を続けたのだ。

 日本銀行が発表する実質消費活動指数でインバウンド需要の影響を除いた消費の動きを見ると、24年10~12月期は前期比-0.5%と7~9月期の同+0.7%から減少に転じ、さらに最新12月の水準は10~12月平均比で-0.1%と、25年1~3月期に対してマイナスの下駄を履いている状況だ。

 昨年に続き高い賃上げが期待される春闘だが、消費に結び付くことになるのか。トランプ関税のリスクが現実になる前に、まずは消費を回復させることが第一だ。