中国は、南シナ海と台湾海峡の波立つ海からヒマラヤ山脈の凍(い)てついた尾根に至るまで、容赦ない拡大戦略を展開している。戦争と平和の間のあいまいな領域で活動し、アジア全域に覇権を広げようとしている。また、各方面の活動を慎重に調整し、本格的な紛争に発展しない程度にとどめている。それでも、徐々に係争地域に深く入り込んで対立国を疲弊させ、ボディーブローのようにじわじわとダメージを与えている。中国は、戦闘機による偵察、海警局(沿岸警備隊)船による活動、さらには新たな民間入植地を徐々に建設するなどで、安全保障戦略家たちが「グレーゾーン」と呼ぶ領域で絶えず境界線を押し広げている。対立国が許容できる行動の限界を試し、新たな行動を起こすたびにその内容を少しずつエスカレートさせている。
中国、「グレーゾーン」拡大作戦で係争地の支配着々
各種データからアジア全域で中国の戦術が明らかに強化されていることが判明
有料会員限定
あなたにおすすめ