「自分も参加してみたい」
そんな欲望を掻き立てられる
子どもたちをよくよく観察してみると、どうやら血生臭さがイカゲーム人気の核ではないことが見えてくる。特に刺さっているのは、子ども向け遊戯の数々そのものと、それらに命がけで取り組む大人たちの姿勢ではないかと推測される。
筆者の子ども時代には「風雲たけし城」という、応募者参加型でアスレチックをやるテレビ番組があって、自分もぜひ参加してみたいという気持ちでドハマリして観ていたが、あの気持ちに近いのかもしれない。
しかし血生臭さが人気の核ではなかったとしても、人気となるフックか、少なくとも人気を形作る一要素であることは間違いない。つまり、血生臭さは忌避されることなく受け入れられているということである。
子どもに人気のコンテンツを見ていると、ホラー要素を持つものがそれなりの割合で含まれていることに気づく。今から数十年も昔、筆者が子どもの頃はせいぜい学校の怪談や心霊写真くらいだったが、現代の子ども向けホラーには大人向けホラーを噛み砕いたものや、血が噴出したり腕がもげたりといったちょいグロいものがあって、バラエティに富んでいる。
ながらく世界的に一斉を風靡している「ロブロックス」というゲームプラットフォームがある。ゲーム内チャットや関連コンテンツを観測したところ、小・中学生を中心に人気を博している。ロブロックスでは実にさまざまな、ほぼすべてのジャンルのゲームが網羅されていて、どれも基本無課金でプレイ可能である。
基本となるアバターはちょうどレゴの人形のような顔かたちで見るからに無害だが、そのキャラが死ぬ時には手足・首・胴がバラバラになる。初めてそれを見たとき驚いて、「子どもに不適切なのでは」と焦ったが、子どもたちサイドでは特に大きな衝撃を伴わず、「いちいち騒ぐほどのことでもない日常の風景」として受け止められている様子であった。