自分の生き方や置かれた状況に「悩む人」がいる一方で、同じ環境にいても「悩まない人」がいます。ではどうすれば、「悩みやすい不幸体質」を卒業して、「絶対に悩まない人」になれるのでしょう。
その方法を教えてくれるのが、書籍『不自由から学べること ―思いどおりにいかない人生がスッとラクになる33の考え方』です。12歳からの6年間を「修道院」で過ごした著者が、あらゆることが禁止された暮らしで身につけた「しんどい現実に悩まなくなる33の考え方」を紹介。悲観でも楽観でもない、現実に対するまったく新しい視点に、「現実の見方が変わり、モヤモヤがスッと晴れた」といった声が多数寄せられています。この記事では本書より一部を抜粋・編集し、「他人に対する怒りが消える考え方」を紹介します。

弱い人間の象徴「キチジロー」
遠藤周作の書いた名作『沈黙』は、潜伏キリシタンの話です。その話には、何度も棄教するキチジローという人物が出てきます。
彼は何度も神や人々を裏切るのに、そのたびに「ゆるしてほしい」と言って戻ってきます。キチジローは弱い人間の象徴のような人物なのです。
そして神父は、そんなキチジローを何度もゆるします。
「許す」と「赦す」の違い
「ゆるす」と表記しましたが、漢字で書くと「赦す」となります。
そして聖書においては、「許す」と「赦す」は違うとあります。
「許す」は、「悪い行為を無害だとすること」などを意味します。現実をポジティブにとらえ直して受け入れることですね。
一方で、聖書で「赦す」と訳されているギリシャ語にはもともと、返済を請求せずに債権を「手放す」という意味があるそうです。
なかったことにするのではなく、相手への怒りや恨みを認めたうえで、手放す。
そして「もうあなたとは付きあいません」とはっきり提示し、自身で罪を償ってもらうのです。
問題を手放して、身をひく
私たち人間は弱くて醜く、立派な生き物ではありません。白黒はっきりできない、グレーのときも多々あります。いっときの気の迷いで行動を起こしてしまうこともあります。
ですから今は攻撃してくるような人も、いつかは気が変わるかもしれません。
そんな相手とぶつかり、変えようとしても、こちらが疲弊するだけです。
いつか相手が心変わりするまで、その感情や問題自体を手放して、身をひく。
それが赦すことです。
諦めて手放してしまうのが最善策であることも、大いにあると思うのです。
(本稿は、書籍『不自由から学べること ―思いどおりにいかない人生がスッとラクになる33の考え方』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。書籍では他にも、「悩みが消える考え方」を多数紹介しています。)