政府債務残高「1300兆円」超え、PB黒字化は歳出改革なしでは実現しないPhoto:PIXTA

2025年当初予算が成立確実に
「29年ぶり国会修正」に光と影

 2025年度の一般会計当初予算案は3月4日、野党の要求を一部反映させた修正案が、自民・公明党と日本維新の会の賛成により衆院で可決され、参院での審議に移っている。

 少数与党の下、維新が求めた高校無償化や給食無償化を26年度に実現(一部は25年度から先行)するほか、国民民主党が主張していた「103万円の壁」の見直しについては、自公が協議プロセスで提示した、年収850万円以下を対象に基礎控除を4段階で上乗せし、壁を160万円に引き上げる案に政府案が修正された(国民民主党は反対)。

 修正案の衆院通過で予算成立のめどはついているものの、石破茂首相は野党の反対の強い高額療養費制度見直しの先送りを決め、再修正案を参院に提出する方針で、予算案は参院本会議で可決後、再び衆院で採決されて成立の見込みだ。

 与野党政策協議が重ねられ、29年ぶりの当初予算の国会修正となる。

 ただ、衆院での修正後の予算案ベースで25年度末の国・地方の長期債務残高は1330兆円に達する見込みだ。「PB(基礎的財政収支、プライマリーバランス)黒字化」の財政健全化目標実現もまた先送りだ。

 衆参予算委員会での議論は、政府支出の内容について財源の面も考えた議論が展開され、また野党第1党の立憲民主党は、約3.8兆円規模の予算の組み替えフレームを提示するなど、従来にない予算審議の風景にはなっている。

 だが、減税や歳出増の議論は熱心だが、将来にわたる歳出効率化の徹底は不十分で、30兆円弱の国債発行を続ける財政全体を俯瞰した問題意識は国会論戦からはうかがわれない。