
採算管理体制の精緻化に向けた支援
当金庫の経営サポート部コンサルティング室は、2022年10月の設立時から「意思決定会計(管理会計)」を起点とした経営改善支援を行っている。当金庫では組織活動を管理するのみでなく、未来のために使われる会計であることを強調するために、一般的に用いられる「管理会計」に代えて「意思決定会計」という言葉を用いている。
このうち特に注力しているのが「採算の見える化」である。会社が利益を上げるためには、「どの製品、サービスを、どの程度の数量で販売すれば利益が得られるか」を把握する必要がある。これが採算管理である。採算管理を行うためには変動費と固定費を分解しなければならないが、これが意外と難しく、うまく可視化できていない中小企業も多い。決算書(財務会計)上では変動費と固定費が混在しているためだ。
そこで当室では、顧客に対して次のアプローチを行っている。
(1)まず「事業部門別・店舗別・製品別・案件別の変動(限界)利益」を整理したフォーマットを作る。これにより、重要改善変数である「販売単価」「変動費情報」「販売数量」「固定費」を可視化する。その過程においては、特に製造業のケースでは、状況に応じて生産管理システムからBOM(部品表)情報を取得する。
(2)次に、この採算管理表の「製品別・案件別の変動利益」がプラスになっているかを確認する。顧客の中には、変動利益の時点で赤字になっている製品もある。これは「その製品を売れば売るほど利益が減っていく」状態を意味しており、特に事情がない限りは早急に改善策を講じる必要がある。
具体的には、「販売単価を上げられないか」「変動費を下げられないか」「販売数量を増加させられないか」「無駄な固定費はないか」の4点を検討する。なかには、この採算管理の可視化だけで利益が生じる会社もある。