「外注先への技術指導まで…」商工中金が始めた中小企業支援策「ZK計画」とは?写真はイメージです Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

経営改善支援の意識醸成とノウハウ向上

 当金庫は、前回述べたように経営改善支援に向けて多彩な研修プログラムを充実させている。なかでも「ZK(全員経営サポーター)計画」(以下、ZK)は、基礎的な経営改善ノウハウの習得から実際の顧客への改善提案まで行う、体系的かつ実践的な研修プログラムである(図表)。

 受講者は、「担当する顧客の経営状況を良くしたい」「経営課題の解決に向けて伴走支援をしたい」という熱い思いを持っており、受講への応募は全国の支店から届く。受講者は若手から中堅までの各階層4~5人程度でチームを編成し、本部の専門家が講師を務める。講師の下で3ヵ月間、現状分析(窮境要因含む)から改善に向けた具体的・実効的な行動計画の策定まで行った後、コンサルティング機能の発揮に向けて顧客へ改善提案を行う。ZKには、幅広く経営改善ノウハウの習得を目指したものや、管理会計やマーケティングの専門性を高めるものなど複数のカリキュラムがある。

 研修の枠組みとして重視しているのが「受講者間の相互性」である。講師から受講者への一方的な指導にとどまらず、講師や受講者たちが相互に質問や意見を出し合い、インタラクティブ(双方向的)に進めることで、自身にはない視点から気付きを得る機会を提供している。講師は、経営改善の基礎的知識や管理会計・マーケティングなどの専門知識の提供にとどまらず、受講者の理解度や議論の状況に応じた着実・効果的な指導やファシリテーション(環境づくり)を意識している。

 顧客への改善提案に当たっては、決算書のほか部門別損益や商品別・取引先別収支状況といった社内資料の提出や、将来構想や在りたい姿などの経営者へのヒアリングを依頼することとなる。依頼する際、顧客の経営を共に考え、少しでも経営課題の解決に貢献していく思いを伝え、(顧客の)理解の上で進めるため、提案後の伴走支援を望まれるケースが多い。