「全社員に買って配りました」
「入社する人への課題図書にしています」
そんな声が多数寄せられているのが、書籍『ベンチャーの作法 -「結果がすべて」の世界で速さと成果を両取りする仕事術』です。転職エージェント「キープレイヤーズ」代表の高野秀敏さんが、1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験から、ベンチャー流の「結果を出す働き方」をまとめました。“きれいごと”抜きの仕事論に、社員や経営者、ベンチャーや大企業を問わず、刊行直後から多数の感想が投稿される異例の反響となっています。
この記事では、本書に大いに共感したという読者のひとり、株式会社ウィルゲートの共同創業者・専務取締役である吉岡諒さんに、本書からの気づきを語っていただきました(ダイヤモンド社書籍編集局)。

「それは自分の仕事ではない」という意識
『ベンチャーの作法』を読んで、現場のいち社員目線で感銘を受けた言葉があります。これです。
「社長のボールを奪いにいけ」
「採用するのもあなたの仕事である」
私はCOO(Chief Operating Officer:最高執行責任者)として、営業やマーケティングの戦略を立てたり、新規事業では現場で営業活動をしたりしています。
経営者でありながらも以前は、採用や広報といった人事・バックオフィス部門の業務は、自分の仕事ではないと思っていました。
野球でいうと、すでにセカンドとショートの両方を守っている状態でしたので、「事業面は自分が十分にやっているから、せめてセンターとレフトは違う人が守ってくれ」「俺は内野だから、外野の玉は拾わない」と、そんな意識がありました。
勝手な「役割意識」を捨てて、全部やってみる
でもある日、それは自分が勝手に役割を決めているだけで、「会社を伸ばすためにできることは、すべてやらないといけない」と、心を入れ替えました。
そこで、COOをやりながら中途採用や広報の担当役員も兼務するようにしたところ、あっという間に結果が出ました。
たとえば中途採用なら、1ヵ月で2000~3000人のプロフィールを見て、800通くらいスカウトDMを出すよう徹底したら、即戦力になる優秀な人材をダイレクトリクルーティングで採用できるようになりました。
リファラル採用も、それまでは年間3人だったのが17人に増えました。私が率先垂範して動いた部分もありましたが、全社員からのリファラルも増えていきました。
広報業務にも時間を割いて、強化していきました。
当時は、メディアなどへの掲載数が目標になっていましたが、それを広報経由の売上や採用数に目標を変えました。そもそも広報経由の売上が計測できていなかったので、それを測定する仕組みづくりから始めたところ、年間3000万円ほどだった広報経由の売上が、2年で8000万円まで上がったんです。
見つけた課題を「自分」で解決できる人になろう
きっと多くの人は、「採用や広報は、自分の仕事じゃない」と思っていることでしょう。COOの自分でさえそうだったのですから。ですが変な役割意識を捨てて、仕事というボールを拾いにいった結果、自分も会社もブレイクスルーできました。
自分が担当者ではない場合、採用や広報の仕事を当事者意識持ってやれる人はかなり少ないでしょう。「この部署、人が足りていないな」と課題を見つけても、「誰かがやってくれる」と思ってしまう人が大半です。
ですが、自分で課題を見つけたら、それを自分で解決できる人が、本当にベンチャーで活躍できる人なのだと思います。
「やったことないから、できない」と言う人もいますが、最初は誰もが同じです。それでも行動し、課題を自分で解決できる人が、ベンチャーでは評価され、成果を出していくのです。
(本稿は、書籍『ベンチャーの作法』に関連した書き下ろしです。書籍では「なにがあっても結果を出す人の働き方」を多数紹介しています。)