「子どもが感情的になり、言うことを聞かない」「他の子と比べて、うちの子が遅れていないか心配」「褒美を与えないと頑張れない子になりそうで不安」など、幼児の時と比べて、親の悩みが尽きません。小学校6年間は、良くも悪くも親の影響を受ける最も多感な時期。自分で考えて学ぶ子は、どのような生活環境にあるのか。「指導実績」×「心理学」×「ベネッセのデータ」でわかった最高の教育を「声かけ」というシンプルな方法でお伝えします。誰でも一度は感じたことのある子育ての悩みを、簡単に解決するには「声かけ」を変えることです。『自分で考えて学ぶ子に育つ声かけの正解』より、「ほめ方」「しかり方」よりももっと大事な「声かけ」で、「子育てあるある」に対応したノウハウをお伝えします。

子どもに感情的になってしまう親が気を付けておきたいこと
多くの親が抱える問題の一つに、「我が子がすぐ怒って泣いてしまい、言うことを聞かない」があります。最初は優しく接しています。でも何度言っても変わらないので、つい声を荒らげてしまう。叱るにしても、いい方法がわからない。私も同じ思いを抱えていました。
私は若い頃、強く叱れる人がいい教師だと思っていました。
「4月のうちにどっちが上か、ちゃんと子どもたちに教育するの」
「なめられたらダメ」
「しつけをしっかりしていないクラスは、年度後半にうまくいかなくなる」
たくさんの先輩の助言をもとに、叱らなくてはいけないとプレッシャーを感じていたことを思い出します。
若い自分は、「厳しく接する」「あえて笑顔にならない」など、今とは全く逆の考え方でした。そして、「あれはすべきだ」「これくらいできるのは当たり前」と、子どもたちを追い込んでいました。今ではとても反省しています。
なってほしいのは、親や大人の言うことを素直に聞く子どもではなく、自分で考え、予測不能な世の中をワクワクしながら歩める子どもです。そのためには「べき」を捨てる必要があります。
・親だから、こうしなければダメ
・小学生は、こうしなければダメ
勝手な思い込みが、自分たちをどんどん追い込み、行きにくい世の中をつくっています。親であるあなたは、親である前にひとりの人間です。もっと自由でいいのです。子どもの問題行動を見ても、自分のせいにしないでください。ダメな親だと思っていると、子どもにも影響が出ます。
「お父さんやお母さんがいつも悩んでいるのは、自分のせいだ」と悩んでいい子に育つならいいのですが、そうはなりません。自分自身を責めて、問題行動を起こす子はたくさんいるのです。
子どもをコントロールしようとしない
まずは、親がゆとりをもちましょう。子どものことばかり考えず、自分の人生を楽しむために何をすべきか考えましょう。おいしいものを食べるでも、早く寝るでも、何か買うでも構いません。自分の人生を豊かにする大事な要素の一つに子育てがあるくらいの考えに変えるのです。
最も簡単な方法は、声かけを変えることです。命令形の口調をなくすだけで、心のあり方が変わります。
「お父さんは○○がしたいから一緒にやろう」
「お母さんは○○したいんだけれど、一緒にやる?」
とにかく子どもに強制せず、問いかけます。そして、提案を加えることです。あくまで主語は親である自分です。子どもが「やらない」と言ったときも受け入れる準備をしておきます。イエスもOK、ノーもOK。子どもをコントロールしようとしない。子どもが伸びる秘訣は、このマインドにあるのです。
(本原稿は、『自分で考えて学ぶ子に育つ声かけの正解』より一部抜粋、再編集したものです)