「子どもが感情的になり、言うことを聞かない」「他の子と比べて、うちの子が遅れていないか心配」「褒美を与えないと頑張れない子になりそうで不安」など、幼児の時と比べて、親の悩みが尽きません。小学校6年間は、良くも悪くも親の影響を受ける最も多感な時期。自分で考えて学ぶ子は、どのような生活環境にあるのか。「指導実績」×「心理学」×「ベネッセのデータ」でわかった最高の教育を「声かけ」というシンプルな方法でお伝えします。誰でも一度は感じたことのある子育ての悩みを、簡単に解決するには「声かけ」を変えることです。『自分で考えて学ぶ子に育つ声かけの正解』より、「ほめ方」「しかり方」よりももっと大事な「声かけ」で、「子育てあるある」に対応したノウハウをお伝えします。

親の失敗談が子どもの挑戦を後押しする
子どもが最もやる気を失う言葉があります。
「○○しなければよかったね」
挑戦を全否定するような言葉を使ってはいけません。
「そんな簡単なこともできないの?」
「何度言ったらわかるの!」
「さっき言ったでしょ」
何度言ってもできない我が子を見て、つい言ってしまうものです。私もそうでした。そこで、次の2つのことを心に留めておいてください。
1.いつ子どもが失敗してもいいように心の準備をしておく
2.失敗は挑戦の上に起きることを自分に言い聞かせる
とはいえ、「失敗したくない。傷つきたくない」と思っている子が多くなっているのが現実です。失敗を恐れず挑戦する子に育つために必要なことは何でしょうか。
失敗の後の声かけが大事
子どもが、家族みんなのことを考えて、晩ご飯をテーブルに運んでいるところを想像してください。不安定で、今にも落としそうです。案の定、こぼしてしまったとします。
「なんでやること、増やすの?」
「だから言ったでしょ!」
ではなく、
「けがはない? 大丈夫?」
「運んでくれてありがとう」
と言いながら、親が率先して拭きます。間違っても
「もう手伝わなくていい」
「あなたがこぼしたんだから、あなたが拭きなさい」
などとは絶対に言いません。
今回は失敗してしまいましたが、失敗の後が大事です。失敗は誰でもしますが、その後、その挑戦をしなくなってしまうのか、また挑戦してみたくなるかは、些細な失敗のときの声かけで決まると言っても過言ではないのです。
(本原稿は、『自分で考えて学ぶ子に育つ声かけの正解』より一部抜粋、再編集したものです)