6月の株主総会は大荒れ必至
フジテレビグループは今回、大幅な経営体制の刷新をアピールしたものの、まだ乗り越えなければならない壁がある。
まず、3月31日に中居氏と女性とのトラブルに関して第三者委員会の調査結果が公表される。会社側も、「改善策を作っている最中」(清水社長)だという。フジテレビのコンプライアンス、ガバナンスの実態はどうなっていたのか。そして改善策が十分なものなのか、視聴者やスポンサーが判断することになる。
次に、5月16日には通期決算発表が控える。フジテレビの業績がどこまで悪化しているのか、悪影響が他事業にも及んでいないのか、新しい成長戦略を示せるのかなど、株主に対して示さなければいけないことは山積みだ。
その後には、6月の株主総会が待っている。そもそも今回のフジ・メディア・HDの刷新人事案は、株主総会における承認が必要だ。株主総会では、株主側が全く別の人事案を出す可能性もある。メディアの専門家からは、フジテレビ社長の清水氏が続投したうえでフジ・メディアHDの社長を兼任するのを問題視する指摘もある。また、「新社長は社内からではなく、外部から経営のプロを招聘するべきだったのでは」といった声も上がっている。
さらに言えば、日枝氏が自ら辞任の理由を語っていないことも疑問視されている。視聴者からは、「他の役員と一緒に、どさくさに紛れて退任した感が否めない」などと率直な意見が出ている。
6月の株主総会は、大荒れ必至だろう。フジテレビの業績が悪く改善の見込みもないと見なされれば、モノ言う株主から放送事業の売却を提案される可能性すらある。予断を許さない状況だ。
公益性が高い事業を行う上場企業でありながらコンプライアンスやガバナンスの欠落が問題視されているフジテレビグループ。その背景には創業家ではない人物が40年以上もトップに君臨し、人事や予算などに支配力を振るっていたことが指摘されている。裏を返せば、今回の取締役会の刷新は、やっと普通の会社、あるべき姿としてのスタート地点に立ったに過ぎない。
視聴者とスポンサーの信頼を回復し、業績悪化を食い止めるためには、さらなる対策とその実行力が問われるだろう。

