取締役・監査役がのべ30人も退任

 外部からの突き上げにより、重い腰を上げたフジ・メディア・HD。大株主の米ファンド、ダルトンは2月3日付の書簡で日枝氏の辞任を求めていた。経営陣も「取締役会の人数が多すぎるし、多様性が必要で、外部の目も行き届いた方がいい」(清水賢治氏)などとコメントしていた。

 経営体制はどのように刷新されるのか。下の表はフジ・メディア・HDの新しい取締役一覧だ。以前は17人だったのが11人に減り、全体的に若返り女性も目立つ。

「日枝帝国」崩壊!フジテレビは赤字転落でお荷物に…5月・6月にフジを襲う荒波とは?太字の氏名は新任者。編集部作成
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 また、今回はフジ・メディア・HDと一体で、フジテレビも役員体制を刷新する(3月27日付けで新体制に移行)。2社合わせた経営体制見直しのポイントは以下の通り。

【経営体制見直しのポイント】
24年6月時点→25年6月新体制
◆取締役数を減員。取締役会の実効性の強化と意思決定の迅速化を図るため。
フジ・メディア・HD17人→11人、フジテレビ22人→10人
◆独立社外取締役を過半数に。取締役会の透明性・客観性を高め、ガバナンスを強化。
フジ・メディア・HD 11人中6人(うち新任3人)が独立社外取締役、フジテレビ10人中6人(うち新任3人)が社外出身の取締役
◆女性取締役比率を3割以上に。取締役会の多様性を図る。
フジ・メディア・HD 36.4%、フジテレビ30.0%(取締役・監査役では、33.3%)
◆年齢面での多様性も考慮し、50歳代以下を起用、平均年齢を大幅に引き下げ。
フジ・メディア・HD 71.2歳→61.6歳、フジテレビ67.3歳→59.5歳
◆事業領域の開拓や業務改革のため、専門の知見を持つ人材を起用
新任の取締役候補はフジ・メディア・HD 6人、フジテレビ6人
◆取締役会における監督と業務執行の分離を明確にするため、本格的に執行役員制度を導入

 フジ・メディア・HDで取締役が10人退任、フジテレビは取締役・監査役20人が退任する(3月と6月予定の合計)。これほど大幅な刷新を決断したのは、何よりスポンサー離れを食い止めたいからに他ならない。何しろ、1月にCMを差し替えたのは311企業に上り、2月の放送収入は前年同月に比べて約9割も減少しているという。

 そもそも協賛社が集まらなければ番組制作自体が成り立たない。すでに今年の27時間テレビは見送りが決まった。女子ゴルフのフジサンケイレディスも中止など、影響は多方面に広がっている。制作現場では、ドラマやバラエティーのロケ地の協力を断られるケースが増えたという。

 4月以降、7割弱のスポンサーがフジテレビでCMを再開するか判断を保留している状況だ。社外取締役を続投することになった齋藤清人氏は、新体制について「株主の理解を得られると思う」と語る一方で、収入が低迷する現状について「非常時であることは変わりない」と打ち明けている。

 それでは、グループの最新業績はどうなっているのか。