「大統領の意向を無視するわけにはいかない」。JD・バンス米副大統領は、グリーンランド北西部にあるピツフィク米宇宙軍基地に駐留する米兵たちにこう語った。副大統領に当てはまることは、本欄のコラムニストにも当てはまる。事が関税であれ、領土拡大、対ロシア関係、米国の同盟関係の将来、中東のパワーバランスであれ、ドナルド・トランプ大統領が本当は何を望んでいるのかを理解することが、この嵐のような、運命を決する年に米国の外交政策がどこに向かっているのかを分析するための鍵だ。トランプ氏の真意を解明するのは難しい。フランクリン・D・ルーズベルト以来の極めて精力的な動きを示すホワイトハウスを中心に外交・内政の施策が乱発されていることや、トランプ政権の政策の多くが極端に型破りなことが、この政権の分析を著しく困難にしている。分析的というより直感的で、ポスト冷戦時代の主流派のコンセンサスをほぼ否定する知的・道徳的基盤に基づいているトランプ氏の政治手法が、この作業をより複雑なものにしている。