
Photo: Gilles Sabrié for WSJ
ドナルド・トランプ米大統領が中国製品に高関税を課したことで、貿易を巡ってすでに圧力を受けている世界経済がさらなる問題に直面する可能性がある。4000億ドル(約58兆円)相当の中国製品が代替市場を求めて世界中にあふれるという問題だ。
米国の消費者と企業は2日、中国からの輸入品にかかる関税が9日から平均約70%になると告げられた。トランプ氏が「解放の日」の貿易攻勢の一環で、中国に厳しい追加関税を課したためだ。米国では家電製品からおもちゃ、機械、製造業に欠かせない部品に至るまでさまざまなモノの価格が上昇するだろう。
関税の壁が高くなれば、すでに中国製品であふれている世界市場に、従来は米国向けだった輸出品の一部が流入する可能性がある。そうなれば、各国が反発している「中国ショック」が激化する恐れがあるとエコノミストは指摘する。米国が輸入を減らせば、ベトナムや韓国、日本なども輸出先を変更せざるを得なくなり、輸出障壁の高まりに直面する可能性がある。
貿易戦争はこうした連鎖反応によって急速にエスカレートするとエコノミストは指摘する。報復の応酬で防御的な障壁が増え、より多くの国が巻き込まれることになる。
「本当の火花はこれからだ」。世界貿易について著作がある北京大学のマイケル・ペティス教授(金融)はこう述べた。
トランプ氏は2日、貿易相手国が輸出を拡大する一方で自国の輸入障壁を高く維持し、米国を不利に追い込んでいるとして、各国に課す関税率を明らかにした。