
Photo: Shuran Huang for WSJ
ドナルド・トランプ米大統領がこの1世紀余りで最も高率の関税を発表したことを受けて先週の米株式市場は崖から落ちるような急落を演じ、2日間で6兆ドル(約880兆円)超の富を消失させた。
実体経済がそれに続くかどうかは分からない。ただ、リスクはその方向に傾きつつある。
入手可能な証拠は、米経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が3月までは強さを維持していたことを示唆している。雇用の伸びは加速していた。非農業部門就業者数は前月比22万8000人増加し、失業率は4.2%と低水準で、賃金は健全なペースで上昇し、レイオフはまれだった。
しかし、トランプ氏が「解放の日」と呼んだ今月2日に世界は一変した。トランプ氏はほぼすべての国に対して大規模な関税を課すと発表した。JPモルガンによれば、米国が実施した増税としては実質的に1968年以来の大規模なものだという。3日の米株式市場は2020年以来の大幅安となり、S&P500種指数は4.8%下落した。4日には中国が米国からのすべての輸入品に34%の追加関税を課す報復措置を取り、S&P500種指数はさらに6%下落した。
株価下落やそれと並行して起きたジャンク債の投げ売り、関税コスト、報復関税による輸出減少の見込みといったことすべてが経済見通しの重荷となっている。