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【精神科医が教える】わかっているのにスルーしがち…仕事ができない人が見逃していることPhoto: Adobe Stock

神は細部に宿る

 今日は「神は細部に宿る」というお話をしたいと思います。

 この話、おそらく何度かしたことがあると思うのですが、とても大事な視点なので、改めてお伝えします。

「神は細部に宿る」とは?

「神は細部に宿る」とは、「細部へのこだわりが作品の完成度を左右する」とか「小さな部分や細かいところがしっかりしていると、その全体も優れている」という意味です。

 優れたものというのは、実は細かい部分にその本質が現れるということ。逆に言えば、細かいところがダメになっていると、全体としてもうまくいっていないことが多いものです。

本当に大事なところは「演出」しやすい

 人間というのは、誰でも大事なところ、目立つところは「大事だ」と分かっているので、そこを良く見せようとします。たとえ本質がともなっていなくても、そこだけは見せかけでも「良く」見せようとするものです。

 しかし、細かいところというのは、本当にうまくいっていないと手が届かないんですよね。

細部に本音がにじみ出る

 たとえば、誰かが「お客様のためを思って」などと言っていたとしても、細かい部分がすごく不便だったり、改善されないまま放置されていたりすると、「あ、これが本音なんだな」と感じることがありますよね。

 実際には、お金をかけなくても、ちょっとした工夫や改善で快適になるようなことでも、放置されているとしたら、そこには「本気で良くしよう」という気持ちが欠けているのかもしれません。

細部を見ると
その人や組織の本質がわかる

 人間は細かいところを「どうでもいい」と思いがちなんです。でも、だからこそ、細部にこそ油断が出てしまう。そして、そこに本音や本性が現れてしまうのです。

「神は細部に宿る」とは、裏を返せば「細部を見れば、その人や組織の本質がわかる」ということでもあるのです。

細部を観察する習慣を持とう

 もし、これから関わろうとしている人や組織が「本当にいいところなのかな?」と感じたときは、ちょっと細かいところに目を向けてみてください。

 本当に良いところというのは、「かゆいところに手が届く」ような配慮があります。ちょっとした違和感にもすぐ気づき、日々改善しようとする姿勢があるものです。

「よく見せたいだけ」の人は
細部をおろそかにする

 一方で、「よく思われたい」「うまくやっているように見せたい」という気持ちばかりが先行している人や組織は、そうした細かい部分への配慮が行き届きません。

 本当はどうでもいいと思っているから、細部は後回しにしてしまうのです。

自分自身も細部で振り返る

 そしてこれは、他人や組織だけではなく、自分自身にも言えることです。

「なんだか最近、うまくいっていないな」「納得いかないな」と感じたときは、自分がやっていることの細かいところにちゃんと目が行き届いているか、ぜひ振り返ってみてください。そこにヒントがあるかもしれません。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。