トランプ関税ショックの影響で、株式市場が大きく揺れ動いている。多くの個人投資家が不安を抱える中、今こそ「本当に買うべき株」を見極める目が問われている。
個人投資家の間で大きな支持を集めるのが『株トレ』シリーズだ。シリーズ第2弾の『株トレ ファンダメンタルズ編』では、60題のクイズを通じて「業績や財務の読み方」を学ぶことができる。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之氏。本稿では、「割安株の買い方」について話を聞いた。(※この取材は2025年4月9日に行ったものです。構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

株価急落で「買っていい株」「買っては絶対ダメな株」Photo: Adobe Stock

激安株を狙うチャンス到来か?

―― 窪田さんは、今の相場をどのように見ていますか?

窪田真之(以下、窪田):トランプ関税ショックの影響で株式市場は混乱の渦中にあり、しばらくは乱高下が続く可能性があります。

 ですが、長期的に見れば、日本株は良い買い場であると私は考えています。

―― どのような銘柄を買っていくとよいでしょうか?

窪田:日本株の中には「激安株」が数多くあります。

 激安株とは、企業本来の価値に対して、極端に割安な株価で放置されている銘柄のことです。

 具体的なポイントを挙げると、財務内容が良好で、収益力も安定的なのに、PBRが極端に低い銘柄です。

 特に、長期的に資産を築きたいと考えている人にとっては、こうした株を着実に買っていくことが、将来の資産形成に大きく貢献するはずです。

―― 激安株を狙う際に、個人投資家はどのようなことに注意すればよいでしょうか?

窪田:激安株を買う際に、絶対にやってはいけないことがあります。

 そのことをお伝えするために株式投資のクイズを用意しました。

 次のクイズに挑戦してみてください。

株式投資のセンスを磨くクイズに挑戦!

 トランプ関税ショックの影響で、不安定な相場が続いています。

 ですが、こうした不安定な相場も、長期的に見れば割安な銘柄を狙う絶好のチャンス。

 中でも注目しているのが、PBR0.6倍まで売られているA社とB社。どちらも業績は堅調で、投資対象として魅力的に映ります。

 とはいえ、割安さだけで判断するのは危険。そこで2社のバランスシートをチェックしてみました。

 さて、絶対に買ってはいけないのは、どっち?

株価急落で「買っていい株」「買っては絶対ダメな株」

正解は……

 買ってはいけないのは、B社。

財務が悪い会社には手を出すな!

―― なぜB社を買ってはいけないのでしょうか?

窪田:株式投資で、絶対にやってはいけないことがあります。

 それは、財務内容の悪い株を買うことです。

 財務の安全性を測る1つの重要な指標が「流動比率」です。

 流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100

 A社の流動比率が400%であるのに対し、B社の流動比率40%ですね。

 流動比率が200%以上ならば資金繰りは安定と言えます。一方で、流動比率100%以下は資金繰りに支障をきたす可能性があります。

 どんな状況であっても、財務がボロボロの企業に投資するのは、極めてリスクが高い行動だと理解してください。

財務はすぐには改善しない

―― 売上や利益といった業績ばかりに目が向きがちですが、財務の健全性を確認することが、投資では本当に重要なんですね。

窪田:業績は一時的な要因で変動することがありますが、財務内容はそう簡単に変わるものではありません。

 市場で「この会社は倒産するかもしれない」という懸念が広がると、投資家の売りが殺到し、株価は雪崩のように崩れます。実際に破綻してしまえば、その株の価値はゼロになることもありえます。

 ですので、急落時に割安株を買う際には、見かけの安さに飛びつく前に、必ず財務の健全性をチェックしてください。