アントニオ・グラシアス氏は米実業家のイーロン・マスク氏と古い友人だ。投資会社バロー・エクイティ・パートナーズの創業者であるグラシアス氏とその家族は、クリスマスも、カリブ海のバハマやワイオミング州ジャクソンホールでの休暇も、マスク氏と共に過ごす。マスク氏との関係は、グラシアス氏には大きな見返りがあった。証券当局や裁判所に提出された文書によると、グラシアス氏が大富豪になった一つの要因は、マスク氏の企業のほぼ全てに投資したことにある。グラシアス氏とバローは、マスク氏の側近グループ内の立場を利用して金もうけをする新たな方法を見つけた。それは厳重に管理されているマスク氏の非公開企業の株式に投資する機会を外部の裕福な投資家に販売することだ。宇宙開発ベンチャー・スペースXの取締役で電気自動車(EV)大手テスラの元取締役でもあるグラシアス氏は最近、バローを通じた独占的な非公開の取引で10億ドル(約1440億円)相当のスペースXと人工知能(AI)企業「xAI」の株への投資機会を投資家に提供した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が取引の文書を確認した。この取引で、グラシアス氏と銀行には数百万ドルの手数料が手に入る。