手持ちの写真をChatGPTに読み込ませ、プロンプトに「この写真をジブリ風にして」と書いて生成された画像(編集部がChatGPTで生成)手持ちの写真をChatGPTに読み込ませ、プロンプトに「この写真をジブリ風にして」と書いて生成された画像(編集部がChatGPTで生成)

数カ月前、東京国立博物館で撮影した埴輪の写真から3Dフィギュアを作り友人にプレゼントしたことを記事に書いたところ、筆者と編集部に「著作権侵害だ」という声が届いた。また昨今は、生成AIを使ってスタジオジブリ風の自画像を作るのが大流行りだが、こうした画像について「著作権違反では?」と批判する人をよく見かける。生成AI時代における著作権との付き合い方や、SNS上での批判の姿勢について考える。(テクノロジーライター 大谷和利)

SNSでプチ炎上、編集部に「怪メール」が届いた

 今年1月31日に公開した記事(100分でフィギュアが完成!生成AIと3Dプリンタで作る「デジタル民芸品」の世界)で、東京国立博物館の特別展「はにわ」で撮影した写真を使ってミニチュアの埴輪を作った話を書いた。そのミニチュアは、自宅のリビングに飾るとともに、親しい知人へもプレゼントしたのだが、3月末頃に、そのような行いは施設側が公開している写真の利用規約に違反していると問題視する投稿がXにポストされてプチ炎上。さらに編集部にも「怪メール」(なぜ、怪メールなのかは後述)が送られてくる事態に発展した。

 果たして、博物館や美術館の撮影可能展示物を写真に撮って、生成AIによるミニチュアをつくることは“デジタル万引き”になるのか? 今回は、自前のデジタル民芸品をめぐる出来事の顛末を、他の似た事例も絡めながら記し、併せて、このような場合に批判する側が心得るべき要件を明らかにしていきたい。

生成AIとジブリ風画像の著作権問題

 折しも、ChatGPT 4oの画像生成機能によるジブリ風のシーンやポートレート生成が世界的なトレンドとなり、「そうしたイメージを生成することは、著作権的にいかがなものか」という議論が起こっている。まずは、その話題から取り上げよう。

 実際には、このジブリ風画像生成の問題は、埴輪の3Dフィギュアよりも後に発生した出来事だ。しかし、国会でも取り上げられた問題でもあるし、読者の中にも試された方がいるかもしれない。