リートンテクノロジーズジャパン製品開発責任者の金 起漢さん(左)と同ビジネスマーケティング責任者の増田良平さん(右)リートンテクノロジーズジャパン製品開発責任者の金 起漢さん(左)と同日本ビジネスマーケティング責任者の増田良平さん(右) Photo by Otani Kazutoshi

ChatGPT、Stable Diffusion、Claude、Google PaLMなど、複数のテキスト&画像生成AIサービスを一つのUIから使える「リートン」というサービスをご存知だろうか。GPT-4 TurboやSXDL(Stable Diffusionの一部)など、有料の生成AIエンジンも無料で利用できる。本来は有料プランでしか使えないものもある生成AIサービスを、なぜ無償で提供できるのだろうか。(テクノロジーライター 大谷和利)

ChatGPTなど、複数の生成AIを利用できるサービス

 日頃さまざまな生成AIを利用し、その進化や社会への普及に興味を持つ筆者は、以前から「リートン」という名前の企業とサービス(https://wrtn.jp/)が気になっていた。2021年4月に韓国・ソウルで創業したリートンは、正式名称をリートンテクノロジーズといい、2023年11月にリートンテクノロジーズジャパンという日本法人を設立。個人の登録ユーザーであれば、複数のメジャーな生成AIを無料で利用できるという大胆なサービスで、日本市場でも着実に足場を築きつつある。

 他に類を見ないサービスだが、プライバシーやセキュリティの点は大丈夫なのか? 韓国でも日本でも同じように使われているのか?など、いろいろな疑問が湧いてくる。このたび機会を得て、日本法人の製品開発責任者の役職にある金 起漢(キム・キハン)さんと、同日本ビジネスマーケティング責任者の増田良平さんにお話を伺った。以下、記事内では、お二人の言葉をまとめてリートンの発言として扱っている。

ChatGPTの一般公開前から文章生成AIサービスを提供

 日本でのサービス開始が2023年5月だったことから、リートンテクノロジーズ(以下、リートン)は、ChatGPTの普及などがきっかけとなって設立されたと思われることが多いようだ。かくいう筆者もその一人だったが、実際にはChatGPTが話題となる2年前から、社内で研究開発を行っていたという。そして、2022年10月に、ユーザーのニーズに合わせて文章執筆アシスタントを作成できる生成AIサービス「リートントレーニング」をローンチ。CES 2023で、生成AIサービスとしては初めて、イノベーション賞を受賞した。

 リートントレーニングがサービスを開始した後、ChatGPTが人気を集めたときには、「世の中の生成AIに対する興味の大きさを知ることができ、また、実際にリートンのユーザーの増加にもつながって、良い相乗効果が生まれる結果となった」と話す。

「リートントレーニング」は、CES 2023でイノベーション賞を受賞した「リートントレーニング」は、CES 2023でイノベーション賞を受賞した Pic by O.K. 拡大画像表示