米経済が中国と関係を断ちつつあるとあなたが思っているなら、考え直すべきだ。「双方ともデカップリング(切り離し)は望んでいない」とスコット・ベッセント米財務長官は12日、対中関税を大幅に引き下げる暫定合意を発表する際に語った。ベッセント氏によれば、米国は中国との「長期にわたる持続的な通商協定」を目指している。今回のリセットにより、米経済はモノの主要消費国として慣れ親しんだ軌道に戻り、リセッションのリスクが低下するとエコノミストたちはみている。この新たな合意で、関税のショック療法を使って製造業大国としての米国の地位を回復しようとする試みも一時中断する。4月に貿易を巡る報復合戦が展開された中で、米国の中国製品に対する公式の関税率は145%まで引き上げられた。UBSエコノミストの試算では、90日間の猶予により、輸入業者が実質的に支払う関税は約35%になる。報復合戦で米中両国間の貿易が実質的に停止状態に陥り、輸入依存型企業のコストが大幅に押し上げられ、最悪の場合にはこうした企業が廃業に追い込まれる可能性があったが、今回の合意でそうした懸念は取り除かれる。
米中の関税引き下げ、米経済はどうなる
エコノミストはリセッション確率を引き下げ
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