
12日の取引で米国株が急騰したのは、対中関税の引き下げだけが理由ではない。
米中関税交渉が始まり、相互に課していた3桁の関税率の引き下げが決まったことで、米経済が一気にスタグフレーションに陥るとの懸念が一掃された。これは極めて好ましいニュースだ。
これは投資家が可能だと考えていた以上の内容だった。ドナルド・トランプ米大統領が9日、 80%の関税が「適切だろう」 と発言していたことを踏まえればなおさらだ。今回の合意で、米国は対中追加関税を30%に引き下げる。米中とも税率を10%に引き下げるが、米国側は合成麻薬フェンタニルへの対策強化を促すため、20%の関税も維持する。
だが、S&P500種指数が3.3%高と急反発(金価格は3.1%下落)した理由としてより好ましいのは、スコット・ベッセント米財務長官が通商政策を主導しているように見えることだ。簡単に言えば、大人がその場にいるということだ。
筆者は9日、ここ1カ月間の米株式相場の上昇は見た目通りではないと書いた。ドル安による底上げ効果があったためだ。S&P500種指数の価値をドルではなく金(ゴールド)で計ってみると分かりやすい。