「TMARCH」は本当に実現するのか

――なるほど。最近だと東洋大学のレベルが上がってきているといった話も聞きますが、MARCHと日東駒専が部分的に入れ替わるということはないのでしょうか。

びーやま:今のところは考えられないですね。特に文系の場合は。

 一部では東洋大学の「T」を取って「TMARCH」と言ったりするケースも出てきましたが、正直難易度は全然違います。

 以前、文系受験におけるMARCHと日東駒専のあいだに位置する「成成明学獨國武」グループの取材をしたときに、ほとんどの学生が日東駒専は受かって、MARCHには落ちていたんです。

 ここの差は結構しっかりと出ていて、簡単に難易度は入れ替わらないというか、もし入れ替わりがあるとすれば、「成成明学獨國武」を経由するだろうと僕は感じています。

 ただ、東洋大学が日東駒専の中で抜けてきたのも事実で、子どもが減っているこの時代に伸びているというのはかなりすごいことだと思います。

 ただ、忘れてほしくないのは、これはあくまで偏差値的な差であって、本人が学びたいことで選んだ大学なのであれば、どれも正解です。特にこのあたりのグループであれば大失敗ということはまずないですから。

――難易度という観点の違いはよく理解できました。入学後の違いなどはあるのでしょうか。

びーやま:あります。というよりも就活時に両者の差は一番出るのではないかと僕は思っています。

 基本的に誰もが知っているような大企業に書類で落とされないのはMARCHまでなんですよね。もちろん、その先では東大や早慶と競り合わなければいけないので、内定となると話は別なんですが、少なくとも書類は8割方通過するのがMARCHまでです。

 対して日東駒専は大企業だと書類で苦戦することが多い印象です。とはいえ、有名大学であることに変わりはないので、最終的にはいい会社には収まっていきます。

 日東駒専でも理系の場合は、研究室との関係性や職種によっては大企業も狙いやすいとは思いますが、文系は結構むずかしいと感じます。加えて、理系は理系で今度は芝浦工業大学などの理系専門で就職に強い大学も出てくるので、決して簡単ではありません。

 その意味では、いわゆる「学歴フィルター」がこの両者のあいだにあるイメージですかね。