「自分も、もっと数字に強ければ…」
日々の買い物や職場で「数字コンプレックス」を感じたことはないだろうか。「算数や数学は大キライ…」「できるだけ見たくない…」中には「数字はもう諦めた」という人もいるだろう。
しかし実は、「数字に強い」は生まれつきの才能ではない。数字に強い人は、無意識のうちに九九などの「頭を使わないラクな計算」を使って、面倒な計算をうまくサボっているのだ。
新刊『「数字がこわい」がなくなる本』は、数字に強い人の脳内を解明した一冊。数字に強い人が無意識にやっている「頭を使わないサボり計算テク」を知れる本書の中から、今回は「数字のとらえ方」について紹介したい。

「80÷19」、すぐに計算できますか?
「80÷19っていくつになるんだろう?」と聞かれたとき、あなたはすぐにパッと計算できますか? 実際に計算すると約4.21ですが、暗算するにはちょっと骨が折れそうです。
ここで数字に強い人がやっているのが、この「○強」「○弱」という表現です。この表現は数字をざっくり捉えるのにとても便利です。たとえば、3.95なら「4弱」、4.2なら「4強」という具合に、どちらに近いかをざっくり示せるため、「ちょっと足りない」「ちょっと超えてる」といったニュアンスが伝わりやすい。わざわざ厳密に計算しなくても、ざっくりと相手にイメージさせられるというメリットがあります。
19を「20」に置き換えてざっくり考える
では先ほどの式も、ざっくり計算してみましょう。今回は、「19を20に置き換えて考える」という発想を使いましょう。
そうすると、
→80÷20=4
ですから、一気にイメージしやすくなります。ここで重要なのは、19を20に増やしたことで割る数が大きくなった分、出てきた「4」は、実際の答えより少し小さめだということです。つまり実際の答えは「4よりちょい大きい」と表現する必要があります。ここで、「4強」という言い方をするわけです。
数字に強い人は、こうした“ざっくり感”を上手に使い分けています。たとえば「80÷19、だいたい4強くらいかな?」と考えれば、ビジネスの見積もりや家計の試算をするときにも、大まかなラインをすばやく把握できます。そして後からツールで正確な計算をする際に、大きなズレがないかを確認すればよい。
一方、数字に弱い人は、すぐに小数点以下まで正確に出そうとしたり、逆に暗算をあきらめてしまいがちです。結果的に、目安としての計算ができず、物事の規模感やイメージをつかみにくくなってしまいます。
数字に強い人は、まず「ざっくり」をつかむ
もちろん、正確な数値を扱う場面では細かい計算が必要ですが、日常やビジネスの多くのケースでは、まずは「どの程度の大きさか」を素早くつかむことが大切です。「19なら20に近いから、割り算の答えは4よりちょい大きめだな」と推測できれば、初動の判断がぐっとラクになります。数を柔軟に扱うアイデアによって、地頭がよくなるわけですね。
結局、「○強」「○弱」のような表現を活用できるかどうかが、数字に強い人と弱い人を分けるポイントの一つ。厳密な計算だけではなく、状況に応じてざっくりとした近似値を素早く出し、あとで細かく調整する。そんな姿勢が、日々の暮らしや仕事での数字の取り扱いをスマートにしてくれるのではないでしょうか。
(本記事は『「数字がこわい」がなくなる本』に関する書き下ろし原稿です)