「短く・深く・繰り返す」読書習慣を

そこで大切になるのが、“読書体験のハードルを下げる工夫”です。たとえば、「短い文章でもいいから、じっくり読む」ことを習慣にするだけでも、語彙力や読解力は確実に育っていきます

1冊の本を無理に読破するのではなく、1ページでも「立ち止まって考える」読み方こそが、国語力の土台になります。

読書は「量」より「質」

よく「たくさん本を読む子は頭がいい」と言われますが、本当に重要なのは“何冊読んだか”よりも、“どう読んだか”です。

1冊を10回読んだ子と、10冊を1回ずつ読んだ子では、前者のほうが語彙の深み・使いこなし力が身についているケースが少なくありません。

繰り返し読むことで、言葉の使い方が自分の中に定着していくのです。

「読書のストレス」を減らす3つのヒント

読書に対する心理的なハードルを下げるには、次の3つが効果的です。

1. 短い文章を読む習慣から始める
 短編集、詩、エッセイなど、“短く完結する文章”から入ると負担が少なく、達成感も得られやすい

2. 「音読」や「対話型読書」を取り入れる
 一人で読むのが難しい子には、親や先生との“音読の掛け合い”もおすすめ読みながら話すことで、語彙の定着率が飛躍的に上がります

3. 自分のペースで「少しだけ読む」ことを許可する
「10分だけ読む」「今日は3ページだけ」など、“途中でやめていい”読書を認めることで、心理的抵抗感が軽くなります。

語彙力を伸ばす読書は、「苦行」ではなく「発見」になる

本来、読書は新しい言葉との出会いにあふれた“発見の旅”です。強制されるものではなく、自分の感性で感じ、考え、味わう営みです。

「語彙力アップのための読書」も、その本質を見失わずに設計することが何より大切なのです。

こうして、読書を「言葉の楽しさに触れる場」として捉え直すことができれば、読書嫌いになることなく、自然と語彙力が育っていくでしょう。

※本稿は、『成績アップは「国語」で決まる! 偏差値45からの東大合格「完全独学★勉強法」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。