
休日が取れなくなって、今日で1057日目。もう3年近く、1日も休んでいないことになる。わが店は、コンビニ大手「ファミリーハート」(仮称)とフランチャイズ契約を結ぶ地方の郊外店。私は今も現役のオーナーであり本名を明かすことはできないが、本書に書かれているのはすべて、30年間で実際に私が体験したことだ。
※本稿は仁科充乃『コンビニオーナーぎりぎり日記』(三五館シンシャ)の一部を抜粋・編集したものです。人物名は全て仮名です。
某月某日 年中無休
葬式に出るときの作法
コンビニの深夜営業規制の声が上がっている。温暖化対策や青少年の非行防止につながるというのが理由である。温暖化対策はいざ知らず、後者についてはわが店は、この地域の防犯を担ってきたという自負がある。「非行の発生元」とそしられた時代から「あるから安心」と頼りにされる時代に変わってきたのは各コンビニオーナーたちの努力の成果だと思っている。
それでも、声を大にして言いたい。「コンビニの深夜営業を規制して」と。夜の1時に閉めて、朝の5時に再開するのでもいい。せめて深夜の数時間、安眠できる時間がほしい。それが本音だ。
この年になって、あらためて自分のやっているこのコンビニという商売が、正気の沙汰ではないと思う。1年365日、1日24時間、結婚式があろうが、葬式があろうが、とにかく営業し続けねばならない。しかもそれが一個人の小さな小売店にすぎないのだ。
息子が子ども時分、年に一度は国内1泊旅行ができた。パートさんに1日だけ精算業務をまかせて、ディズニーランドやUSJ、志摩スペイン村などへ連れて行った。
ただ、1泊2日で遊びに出ようと思うと、その前後には通常の倍の仕事をこなさねばならない。
おにぎりの発注*ひとつとっても、ふだんなら20種類の商品を、数時間ごとに見直して調整しながら発注している。だが、店を空ければそうした調整はできない。翌日、翌々日の2日分を予測して発注していく。弁当もサンドイッチもいまだ売れてもいない、届いてすらいない段階で、見切り発車*で数十個発注するのは勇気がいる。
遊びに出かけたときにも、行く先々で何度も店から電話*が入る。もうずいぶん前、家族でディズニーランドの「カリブの海賊」に並んでいたとき、ケータイが鳴った。