「少女に見えたのに…」万引き常習犯の正体に絶句、コンビニオーナーが思わず泣いたワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

今、みんなが食べているもの、読んでいるもの、流行っているもの、そのすべてがコンビニに揃っている。「ファミリーハート」(仮称)と契約を結ぶ郊外店で、私は今も現役のオーナーであり、本名を明かすことはできない。店頭でコンビニの変化をずっと見続けていると、人々のものの捉え方、考え方の変化もまたよくわかる。コンビニは日本社会の縮図なのだ。
※本稿は仁科充乃『コンビニオーナーぎりぎり日記』(三五館シンシャ)の一部を抜粋・編集したものです。人物名は全て仮名です。

某月某日 万引き
警察はまだ来ない

 数カ月前から、ものが頻繁になくなりだした*。板チョコが一度に5枚なくなったり、ドラ焼きが必ず毎日1個ずつ消えたり、目につくなくなり方をしだすと、「ああ、まただ」とため息が出る。

 バイトの子たちにも気をつけてもらい、どの時間になくなるかを見ていると、朝の8時から9時のあいだということが判明した。私がその時間帯の防犯カメラをチェックしてみると、ある女の子が浮かびあがった。

 小柄な体格で、顔つきには幼さが残る。きっとまだ学生だろう。商品棚に近づき、商品を手に取り眺める。手慣れているのか、ビデオ画面では盗る瞬間は確認できない。だが、その不審な動きは犯人が彼女であることを示していた。

 バイトの子たちにビデオを見せ、この子の行動に注意するよう伝えた。

「この子じゃないと思います」バイトの女の子がそう言った。

「可哀想。捕まえないでおいてあげてください」別の子が言う。彼女たちも、こんなに若い子が犯人だなんて思いたくないのだ。

 バイトの子たちのためにも、そして犯人自身のためにも、私ができるのは一刻も早く捕まえる*ことだけだ。