【医師が警告】“高すぎる枕”が若者の命を奪う「殿様枕症候群」とは?
「病院に行っても治らなかった不眠の悩みが解決した」「普段なかなか寝ない子どもがスヤスヤ眠った」――感謝の声、続々! 睡眠専門医も納得の2万人を救った「快眠メソッド」を初公開。夜、ぐっすり眠れないという不眠の悩みを医者や睡眠導入剤に頼る前にやるべきこと。それは、寝心地を大きく左右する寝具の見直し。加賀百万石の歴史都市・金沢で江戸時代に創業し、289年の歴史を誇るふとん店「眠りにまっすぐ乙丸屋」の12代目店主は、不眠に悩む人やもっとぐっすり眠りたいという人に向けて、快眠のアドバイスを施して評判だ。初の著書『とにかくぐっすり眠りたい 老舗ふとん店の12代目がこっそり教える快眠法60』(ダイヤモンド社)では、寝具を味方にして快眠に導き、仕事に家事に最高のパフォーマンスを発揮できる60+プラス1」の方法を、さまざまなエビデンス(科学的根拠)とともに徹底指南! 医者や学者が語ってこなかった素朴にして最も影響の大きい「寝具」の視点から、あなたを快眠に誘う。医学監修:森川恵一(日本睡眠学会総合専門医)
※本稿は、『とにかくぐっすり眠りたい 老舗ふとん店の12代目がこっそり教える快眠法60』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

【まさか枕で脳卒中?】高さ15cm以上でリスクが2倍になる“恐ろしい習慣”Photo: Adobe Stock

高すぎる枕が命に関わることもある

体型・体格を無視して高すぎる枕で寝ていると、首や肩のこりや痛みに見舞われるだけでなく、生命を危険に晒す恐れもあります。

「殿様枕症候群」のリスクが高まるのです。

「殿様枕症候群」とは何か?

この殿様枕症候群とは、国立循環器病センターの研究チームの命名によるもの。

研究チームは、首の後ろの動脈(椎骨動脈)が裂けて起こる「特発性椎骨動脈解離」の発症リスクと、枕の高さの関わりに注目しました。聞き慣れない病気かと思いますが、15~45歳の若い世代の脳卒中患者の10%程度は、この特発性椎骨動脈解離によるものです。

首への負担が病気を引き起こすことも

椎骨動脈解離の3分の1は、野球のバットゴルフクラブなどを思い切り振ったり、整体やヨガなどで強い力を加えたりして、首に瞬間的に強い力が加わって起こります。

原因不明の残り3分の2を特発性椎骨動脈解離というのです。

枕の高さと発症リスクの相関

研究チームでは、同センターに入院した特発性椎骨動脈解離の患者さんに、高い枕を使っている人が多いことを発見しました。そこで、それ以外の病気で入院した患者さんを対照群として、枕の高さを比べてみました。

その結果、枕が高くなるほど、特発性椎骨動脈解離を起こす確率は高くなり、高さ12cm未満の枕と比べると、高さ15cm以上という極端に高い枕を使っていた患者さんでは、その確率は約2倍にもなっていたのです。

「高すぎる枕」が動脈に与えるストレス

高すぎる枕で寝ると首が鋭角に折れ曲がるため、その後ろを通っている動脈のストレスもそれだけ高くなるのでしょう。

高すぎる枕に頭を乗せたままで寝返りを打つと強く捻られるため、さらに解離を起こすリスクが高くなると考えられます。

正しい枕選びが、深い眠りと健康を守る

「枕なんてどれも同じ」と思っている方も多いかもしれませんが、実は枕の高さひとつで、眠りの深さも、朝のスッキリ感も、健康リスクも大きく変わってきます

自分の体型や寝姿勢に合わない枕を使い続けていると、気づかぬうちに首や肩に負担をかけてしまい質のよい睡眠を妨げることになるのです。

「気持ちいい」と感じる枕が、眠りを変える

ぐっすり眠るためには、首や肩まわりの筋肉がしっかりと休まることが大切です。正しくフィットした枕は、頭をやさしく支え、首筋をリラックスさせてくれます。

無理のない自然な寝姿勢が保たれることで、深く心地よい眠りへと導かれるのです。

今日から始める、首と命を守る習慣

「ぐっすり眠りたい」「朝すっきり目覚めたい」と感じたら、まずは今お使いの枕の高さを見直してみてください。

寝返りがしやすく、首がまっすぐ保たれる高さが、あなたの体にとっての“ちょうどいい”枕です。

枕はただの寝具ではありません快眠と健康を支える、最も身近なパートナー。あなたの眠りと命を守るためにも、今日からぜひ、正しい枕選びを始めてみてください。

眠りが変われば、きっと毎日がもっと軽やかになります。

※本稿は『とにかくぐっすり眠りたい 老舗ふとん店の12代目がこっそり教える快眠法60』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。