しかし、そうした「万能」な先生を雇うと、指導料が非常に高くなります。「焼く、蒸す、揚げる」といったさまざまな機能を持ち、豊富なオートメニューまであるスチームオーブンレンジがお高いのと同じです。使いこなせるならいいのですが「よく使うのは、結局、温め機能だけ」であれば、単機能の電子レンジを買うのが正解です。
講師を選ぶときは「わが子に本当に必要な指導は何なのか?」を考えましょう。そうすれば、使いもしないオーバースペックな要素への課金を避けられます。まずは、わが子の性格や学力を把握することから始めましょう。
注意点(3)オーバーワークは
消化不良と体調不良につながる
指導時間を追加して勉強時間が増えれば、成績は基本的には上がります。しかし、授業を取りすぎた結果、時間に余裕がなくなってしまえば本末転倒です。塾の宿題…、家庭教師の宿題…などと常に課題に追われている状態になると、学習効率が落ちます。
「間に合わないかも」と日々、切迫感を受け続けると、問題をしっかり考える余裕もなくなってしまいます。「わかった!そういうことか!」という納得を得るために粘るより、間に合わせることを優先して手を抜いた学習になってしまうこともあります。

菊池洋匡 著
また、毎日たくさんの課題をこなして頑張っているのに伸び悩む子どもは課題が多すぎてバランスを崩していることもあります。課題を間に合わせるために睡眠不足が常態化して、健康を損なうこともあります。子どもが「考えてもわからない」と言ったとき、思考力不足かと思ったら実は睡眠不足だったということもあるのです。
親御さんは、(1)ミスマッチ、(2)オーバースペック、(3)オーバーワークを避け、無駄のない受験サポートをしましょう。中学受験のサポートには、どうしてもお金がかかる部分がありますが、無駄な課金を避けるためにはミスマッチを避けることが鍵です。塾、オプション講座、家庭教師を選ぶときは、子どもの学力や性格に合わせて選択し、オーバースペックなものへの課金は避けましょう。
授業は多ければ良いわけではありません。塾としっかりコミュニケーションをとり、適切な分量を考えてオーバーワークを避けながら学習を進めましょう。親御さんは、無駄を省いた適切な課金で、子どもが安心して受験に臨める環境を整えてあげてください。