IRジャパンに再び強制調査!顧客企業のインサイダー情報を不正利用か、過ちが繰り返される本質的な理由とは?Photo:AH86/gettyimages

企業の株主対応を支援するアイ・アールジャパン(IRジャパン)に再び捜査のメスが入った。顧客である上場企業の未公開情報を不正利用したインサイダー取引容疑である。インサイダー情報を漏らす行為は、前回、逮捕・起訴され有罪判決を受けた元副社長と全く同じだ。なぜ、IRジャパンで同じ過ちが繰り返されるのか。(フリーライター 村上 力、ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

クライアント情報を第三者に漏えい
過去には副社長が逮捕、有罪判決も

 証券取引等監視委員会は22日、アイ・アールジャパン(IRジャパン)社員のインサイダー取引容疑で、同社などを強制調査した。IRジャパン社員が、同社顧客のインサイダー情報を第三者に伝え、株取引を推奨したとみられる。

 IRジャパンの主な業務は、アクティビスト(物言う株主)に株式を保有されたり、敵対的なTOB(株式公開買い付け)をかけられたりする可能性がある顧客企業に対し、株主対応を支援するものだ。そのため、常にインサイダー情報に接する立場にある。

 IRジャパンへの強制捜査は、表沙汰になっているもので2度目となる。2022年に栗尾拓滋副社長(当時)のインサイダー取引容疑で強制調査が入り、翌年5月に栗尾氏は逮捕され、有罪判決が下った。

 前回の事件では、問題となったインサイダー情報はIRジャパンの業績に関するものであり、顧客情報が不正利用された今回の事件とは質的に異なるようにみえる。

 だが立件はされていないものの、栗尾氏は多数のIRジャパンの顧客銘柄を推奨していたことが、ダイヤモンド編集部の取材で明らかになっている。つまり、顧客情報の不正利用という犯罪が再び、別の人物により繰り返された疑いがあるのだ。