土地の評価方法には2つある

前田 問題は土地のほうです。土地については、基本的に「路線価方式」と「倍率方式」という2つの計算方法に分かれていて、「市街化区域」であれば路線価方式で、「市街化調整区域」であれば倍率方式で、相続税評価額を計算します。

固定資産税の通知書を見て、「都市計画税」がかかっていたら市街化区域、なければ市街化調整区域と判断してください。

国税 自宅の場合は、ほぼ市街化区域でしょうから、路線価方式になりますね。

無知 その路線価方式の路線価というのは、簡単に調べられますか?

土地の計算方式

路線価方式:その土地が接している道路の路線価に、宅地の形などに応じた補正率を掛けて修正し、所有している土地の面積を掛ける方法。道路に接している部分が多いだけ評価額は上がり、土地が2面に接している場合は、基本は高いほうを採用する。

倍率方式:固定資産税評価額に一定の倍率を掛け、土地の評価額を計算する方法。

路線価図の使い方

前田 はい。路線価は、「宅地1㎡あたりの相続税評価額」を示す値で、毎年7月1日に国税庁がホームページ上で公開している「路線価図」から調べられます。

路線価図は住宅地図の形になっていて、道路ごとに千円単位の路線価が設定されています。たとえば自宅の敷地が接している道路に「260」という数字がついていたら、1㎡あたり「260,000円」として相続税の評価額を求めることができます。敷地が100㎡なら、「260,000円」に100を掛けて、2600万円になります。

実際に相続税申告のために計算をするときは、接している道路の数や、土地の形状、用途などによって調整を加えなくてはいけませんが、まずはシンプルに路線価と面積を掛け算すれば十分です。

相続税評価額から時価への換算方法

無知 その計算で出てくるのは、土地の相続税評価額ですよね。相続税評価額と時価は差があるということですが、どうすれば時価に換算できるのですか?

前田 路線価はおおむね時価に対して8割ほどで設定されているので、0・8で割り戻すと時価に換算できます。たとえば、路線価が24万円の宅地であれば、時価に換算すると「24万円÷0・8」で1㎡あたり30万円ほどの時価と見込めますから、これを遺産分割協議の話し合いのときは参考にするといいです。

路線価を見ると地価が見える?

国税 路線価を調べるのは面白いですよね。自分の住んでいる地域の路線価を見れば、どのあたりの地価が高いのかがわかりますし。

無知 僕ははじめて知ったので、これから自分の家や実家の路線価を調べたいと思います!

前田 まだ相続が実際に起きていない人も、とりあえず相続する土地がどれくらいの相場なのかをチェックしておくといいですよ。

相続不動産の金額はどう調べる? …あくまで「時価」をベースに遺産分割協議をする

POINT 自分の家や実家の「路線価」を0.8で割り戻して「時価」に換算してみよう

※本稿は、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。