頭の悪い人は「学歴を手に入れたら安泰」と考える。じゃあ、頭のいい人はどう考えるか?
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

少し視点を変えてみましょう
「今は正解がない時代だ」――こんな言葉を耳にすることが増えました。
確かに、答えが一つに定まらず、何が正解かわからない状況が多い現代です。
進路選び、キャリア、子育て、社会の在り方……すべてが複雑に絡み合い、簡単な「正解」が見えにくい時代です。
でも、少し視点を変えてみましょう。
実は、「正解がある」と信じられていた時代のほうが、例外的だったのかもしれません。
昭和のボーナスタイムだった
自然界では、常に不確実性が支配しています。
動物はいつ天敵に襲われるか分からない中で暮らし、人類もまた長らく不安定な時代を生き抜いてきました。
戦争や疫病、飢饉……明日を生き延びられる保証すらなかったのです。
そのような世界の中で、「これをやれば人生はうまくいく」という明快なルールがあった時代は、ごく一部にすぎません。
日本でいえば、戦後から高度経済成長期、そしてバブル期まで。
「学歴を手に入れ、大企業に入り、定年まで勤めあげる」という方程式が成立していた、いわば“昭和のボーナスタイム”でした。
頭の悪い人は、そのボーナスタイムの幻影を追い続けているのです。
「自分で問いを立てる」力
「正解がない時代が来た」のではなく、「元の世界に戻った」と考えるほうが自然なのかもしれません。
確かに、ボーナスタイムが終わったことへの不安は大きいでしょう。
でも、私たちはようやく、前提条件が特殊だった時代の“正解幻想”から自由になることができるのです。
「何をすれば安泰か」よりも、「自分で問いを立てる」力が求められる時代。
正解がないことを恐れるより、むしろそれを当たり前として捉え、自分なりの判断軸を磨くことが、これからの時代を生きる上での強さになるはずです。
それが、頭のいい人の考え方です。
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。