「口を開けば会社の愚痴ばかり」「なぜか毎年人が辞めていく」「職場での雑談がない」
具体的な問題があるわけではないけれどなぜか居心地が悪く、モヤモヤする職場になっていないだろうか。そんな悩みにおすすめなのが、組織開発というアプローチだ。『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』(中村和彦監修・解説、早瀬信、高橋妙子、瀬山暁夫著)では、職場のモヤモヤに効く組織開発のはじめ方を成功事例とともに紹介している。本記事では、職場にありがちな悩みについて、組織開発の専門家がお答えする。(取材・文 間杉俊彦、企画 ダイヤモンド社書籍編集局)

Q:「静かな退職」を実行する部下に戸惑っています
入社数年目のメンバーがなかなか主体的に動いてくれずいつでも指示待ち状態です。どうやら会社に失望しているようです。もう一度やる気を引き出すためには何から始めればいいでしょうか。
A:一日5分でもいいから「対話」を試みる
メンバーが主体的に動くのをやめてしまい、マネジャーがいないと仕事が回らないという状況は、決して珍しくありません。そのような部下は、どういう心理状態にあるのでしょうか。
やる気を失った部下は、仕事に対して「面白くもないし、意味も見出せないことをやらされる」と感じています。主体的に働くことをやめた部下は、こういった状況に対して「静かな暴動」を起こしているのです。
有効な解決策は、部下の状況に関心を示し、「対話」を試みることです。
会社への失望感から、最初は話が弾まないかもしれません。しかし、諦めず対話を続けていくことで、会社の愚痴や職場への不満が噴出してきます。
部下がやる気を失う職場に共通する特徴は、会話がないことです。
ここで重要なのは、愚痴や不満が見当違いなものであっても、まずは「受け止める」こと。対話の目的は「部下が抱える課題の解決」ではなく「安心して話すことができる場を設けること」です。
価値観の「違い」に気づく
また、一対一での対話だけではなく不満や課題を「見える化」し、チーム内で共有する場を設けることも有効です。他者の考えに触れることでお互いの価値観の違いに気づくことができます。一緒に働くメンバーとの価値観の違いに気づくことは、職場への関心を引き戻す第一歩です。
業務の「棚卸し」を行うことも効果的です。担当業務を洗い出すことで、抱えている課題を明確にすることができるかもしれません。自分が担当する中で「モヤモヤを感じている業務」を特定し、その原因を掘り下げることで、自身も気づいていなかった問題点が見つかることもあります。
主体的に働くことをやめた社員は、組織に失望しています。だからこそ、意識的にコミュニケーションの場を作ること。まずは一日5分でもいいから、意識的に雑談の機会を作ってみるといいでしょう。
■参考記事:【舐められてる?】言うことを聞いてくれない「年上の部下」をうまく動かすシンプル過ぎるルール
(本記事は、『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』の著者によるオリジナルコンテンツです)