『アンパンマン』ではジャムおじさんや
めいけんチーズ、かまめしどん、カバおと何役も兼任
「最後の最後で何かやらなきゃと思って、カバおをチョイスしました。『アンパンマン』ではジャムおじさん、めいけんチーズ、かまめしどん、カバおと何役も兼任していますが、カバおが一番しゃべりやすいです。
ジャムおじさんは役としては大きいですが、増岡弘さんが作り上げた役を継いだものです。カバおはゼロから役を作りあげてきたからキャラクターで。最初は名前がついていなくて、子どもたちのなかのひとりでした。やっていくうちに面白いとフィーチャーされるようになって名前もついたので愛着があります。だから、『アンパンマン』のキャラで何か言うときはカバおで言うようにしているんです」
他者が作ったキャラクターに声を入れる仕事のなかで、まだ発展途上だったキャラを自分の演技と声で名前のついたキャラにした。規制の多い仕事にもそんなすてきな可能性がある。挨拶にカバおを選んだ山寺のエピソードに、役者としての矜持や希望を感じた。
改めて。『あんぱん』に出演したことで『アンパンマン』に対して思うことはあるだろうか。
「ドラマのおかげで『アンパンマン』もまた注目されるのではないでしょうか。アンパンマンは子どもには大人気だけれど、大人になったら自然と卒業していきます。でも、今回ドラマに出て、大人が見ても面白いと改めて思いました。
もともとは大人向けに書かれたというか、最初のアンパンマンはいまのものとだいぶタッチが違っていて。やなせ先生の戦争体験や弟さんやお母さんのことなど様々な要素から生まれ、いろいろな変遷を経ていまの形になった。その流れを今回、より深く理解できました」
