「帰ってきたら撮る」…のぶが最後に夫の写真を撮らなかった“ある朝の選択”【あんぱん第48回レビュー】『あんぱん』第48回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第48回(2025年6月4日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)

次郎(中島歩)と写真機と
実家を訪ねるのぶ(今田美桜)

「ヤムおんちゃんと豪ちゃんもおってほしかったなって……」

 帰国が早まって、突然、帰って来た次郎(中島歩)と実家を訪ねるのぶ(今田美桜)。途中、駅や商店街で次郎が写真を撮り、のぶにも撮ってみるといいと勧めるも、のぶはためらう。周囲が写真機を贅沢品として見ていることに気が引けるのと、家族の写真を撮りたいからだった。

 次郎の写真を撮ればいいのに撮らない。

 朝田家では、皆、写真に慣れていないので困惑しながらも、写真に収まっていく。

 とりわけ、釜次(吉田鋼太郎)とくら(浅田美代子)は古い人間だからか、魂が抜かれるとカメラに怯える。結局、みんなでパシャリ。

「ヤムおんちゃんと豪ちゃんもおってほしかったな」はこのときののぶのセリフだ。

 蘭子(河合優実)は「ここにおるき」と胸に触れる。

 いい話だ。が、結婚式のときの家族写真撮影のときはこの思いがよぎらなかったのだろうか。こういう会話は交わされなかったのだろうか。