悠木 じゃ、最後に、自分が今つき合っている女の人とか、そういうことは一切なくして、あってもなくてもどっちでもいいですけど……。

萩本 それに関して正直にいうと、いる。

悠木 それはいいの。ただ、自分の理想とする女というのを……。ほんとに欽ちゃんのお嫁さんになりたいと思っている人、いると思うのね。それは異常な恋こがれ方で……。

萩本 うれしい話ですね。

家庭の中の女性のほとんどが
ぼやいているわけ

悠木 ダンナさんのいる人でも、いいなと思っている人、ほんとにいる。そういう人も読むと思うけれども、どういう女の人が最高だと思いますか。

萩本 ぼくは女の人に、これだけしてくれればだれでもいいと思っていることはね、女の人って家にいるわけ。子どもも家にいるわけ。おトウちゃんは外にいるわけ。とにかく子どもの教育ってね、母親がほとんどしているものだと思うの。だから、まずぼやかない女性ね。

 子どもにだれかがインタビューしますね。「お母さんとお父さんとどっちが好き」と言ったとき、即答でパパと言わせる女性ね。酒飲んで帰って来ないでしょう。子どもに「お母ちゃんはこうやって一生懸命ごはんつくっているのよ。にもかかわらずお父さん帰って来ないのよ」というと、子どもは、ああ、パパは悪いやつだと思うわけ。

 父親はね「こうやって働いているのよ。お母さん、そうやって洗濯しないのよ。だから、わたしどう思う?」とは絶対言わないの。男ってぼやかないの。日本の女性、家庭の中の女性のほとんどがぼやいているわけ、実は。それを見るから、だから、「どっちが好き」というと、90パーセントはママ、といいますよ。

悠木 それは物心ついて中学生や高校生になると、ある批判ができてくるから、お父さんという人もいるけれども。

どんなにぼくが悪いことをしても
子どもにだけは悪い父親だと言わないでほしい

萩本 ぼくは自分の母親がそうだったわけ。うちの父親が道楽者で帰ってこなかったの。でも、ぼくは道楽者って聞いたことないからね。

 母親がうちのお父さんを「男っていうのは仕事が大切で、毎日帰ってるようじゃだめなんだ。こうやって夜も働くような男の子にならなきゃだめよ」と言った。だから、男って帰ってこないほうがえらいんだと思っていた。お父さんが、1週間に1回帰ってくるわけ。

 だから、お使いに行ってちょうだい。ぼくがいやだというと、じゃ、お父さんが帰ってきたときに言っちゃう。1週間に1回しか会えない父親に、悪いところ言われたら。絶対、お使いしないとさ。帰ってくるのが楽しみなわけね。かっこいいわけね。

 ウワッ、帰ってきちゃったと思って、玄関に出て、「どうもお帰んなさい。お父さん、お帰んなさい」というと「ウン」――ダダッと入ってくるわけ。パッと脱ぐ。こっちは脱ぎ終わるまで見ていて、「お父さん、お話ししていい?」というと「何だい?さあ、お前、おみやげだ」とくると、ウワッ、やっぱりえらい父親に会えた、と思った。

 だから、お願いだから、どんなにぼくが悪いことをしても、子どもにだけは悪い父親だと言わないでほしい。それを全部良く言ってくれること、それだけがぼくの理想。