そもそも、これまでのルールではJAの手で備蓄米が一時的に市場に放出されても、今年の秋になったらJAが新米を備蓄米として買い戻さなければいけないので、この秋にふたたびコメ不足が起きることは必至でした。

 この件について、メディアで小泉大臣は言葉を選びながらも「あらゆる選択肢、できることを全部やる」とだけ明言しました。

 想定できるあらゆる手段の中でコメ価格を今後1年間で確実に下げることができる手段は、コメ生産量の約7分の1に相当する100万トンの備蓄米をすべて市場に放出することです。この秋にJAが買い戻した備蓄米についても、同じ秋にすべて放出する。そうすればコメの供給増ペースが需要増ペースを上回り、市場の神の手によって価格は適正な水準へと戻ります。

「でも備蓄米はどうするの?」

 選挙を考えると絶対にそんなことは口にはできませんが、同時進行で交渉が進んでいるトランプ関税交渉ではアメリカは日本に「コメを買え」とうるさく言ってきています。

 関税交渉は秘密協定も含まれますから、政治家が全部開示する必要はないでしょう。7月9日の交渉期限までには、なぜか自動車の追加関税は無事になくなることがトランプ大統領から発表されるかもしれません。

 そしていつの間にか、政府の備蓄庫はすべてカルフォルニア米で埋まるかもしれません。しかしそうなったとしても公にならない限りは誰も困らない。コメの価格高騰はあきらかに日本の異常事態ですから、その解決策もアントレプレナーシップにあふれた型破りなやり方で進行していくと考えたほうがいいのではないでしょうか。