一方で激安スーパーもホームセンターもドラッグストアも、基本スタンスとしては目玉商品による集客増を重視します。この違いから、6月から7月にかけて安いコメを求める消費者も購買チャネルを旧勢力である老舗スーパーから、新勢力へと大移動を始める可能性が出てきました。

 さて、最後にもうひとりのアントレプレナーについても触れておくべきでしょう。それが小泉進次郎農林水産大臣です。

コメの流通をぶっ壊す!
クールでセクシーな「進次郎改革」の全貌

 前任の農水相時代にはなかなかコメの価格が下がらないと思っていたら、なんと支持者から大臣にコメが現物で献上されていたことが判明したわけで、辞任の際には国民の怒りはマックスに到達していました。

 そこに小泉大臣登場ですから、また何かおかしなことを言い出して国民の怒りを買うんじゃないかと思っていたところ、期待に反してど直球で流通構造を壊しに来たのです。ことコメ担当大臣としては、アントレプレナーシップにあふれた動きをみせています。

 今回、小泉シン改革(お父さんの小泉改革と分けてこう表現させていただきます)が成功するかどうかの判断は、短期的に来月、備蓄米が市場に行き渡ることではありません。今年の秋のコメ価格が3000円ぐらいまで平均価格を引き下げられるかどうかが重要です。

 小泉大臣が何度もメディアで語っているように、いくらインフレの時代だといってもこれまで5kg2000円で買えたコメが、わずかな期間で倍の価格になっているというのは異常なインフレです。いくら農業にかかる肥料やガソリンなどのコストが上昇しているといっても、それを吸収したうえで小売価格が4500円というのはおかしいことです。

 にもかかわらず、ここまでコメの価格が高騰した背景にあるのが需給ギャップです。政府は長年、コメの減反政策を続けてきたことと、農家の高齢化や廃業のトレンドが重なったことでコメの供給量が明らかに不足する今回の事態を招きました。

 その視点で言えば、今回の備蓄米の販売ルール変更には小売へ直接売り渡すこと以上に重要なルール変更がありました。それが備蓄米の買い戻しを条件としなかったことです。