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ロサンゼルス・ドジャースのスーパースター、ムーキー・ベッツ選手は今冬、東京都内の小学校を訪れた際、3年生と4年生のグループに「大きくなったら何になりたいか」というシンプルな質問をした。
日本のスポーツの歴史を知っている人なら誰でも、その場にいたこのファンたちが「プロ野球でプレーしたい」と答えると期待していただろう。
ところが、彼らの答えは衝撃的だった。
テキサス・レンジャーズの環太平洋地域運営ディレクターを務めるジョー古河氏は「子どもたちの半数が『メジャーリーグ・ベースボール(MLB)の選手になりたい』と答えた」と話す。「何と時代は変わったことか」
最近まで、日本の野球ファンの間では、MLBは常に日本のプロ野球(NPB)の脇役を務めてきた。活気あふれるNPB独自の野球文化は、その1世紀余りの伝統に深くしみ込んでいる。米国の野球に対する急激な関心の高まりは、30年にわたって強化されてきた努力で苦労して得た成果だ。今、MLBはその投資の見返りを目にしている。
今週、東京ドームで行われるドジャース対シカゴ・カブスの開幕シリーズは、このスポーツを永遠に変えた文化交流を究極の形で示すものになるだろう。MLBのノア・ガーデン副コミッショナーは「われわれにとってこれまでで最も成功を収めた国際イベント」になると話した。
この対戦には、日本の5人のトッププレーヤーが出場する。第1戦には今永昇太投手と山本由伸投手が登板する予定だ。日本人の先発投手が日本で行われるMLBの試合で対決するのは初めてだ。注目を集めるドジャースの佐々木朗希投手は第2戦でMLBデビューを飾り、カブスの強打者、鈴木誠也選手と対決する。
そして野球界の中心で輝く1世紀に1人の超新星、大谷翔平選手がいる。