日本人が1日に消費する
コメの量は…
農林水産省によれば、2025年7月から26年6月までの日本人1人当たりの年間米消費量(推計値)は53.8キログラム。これに令和7年の日本の総人口(推計値)である約1億2320万8000人を掛けると、コメの年間需要見通しは約663.4万トンとなる。これを365(日)で割ると約1万8175トンとなり、「日本人が1日に消費するコメは約1万8175トン」と推測できる。
産経新聞の記事の通り、「備蓄米が含まれるとみられるコメが多数出品されている」のであれば、「5キログラム2000円のコメ」が放出される前から転売ヤーがコメをターゲットに売買していると考えるのが自然である。
Yahoo!オークション(ヤフオク)における5月30日時点からの過去180日間において落札された「米 5キログラム」の落札件数は6833件、「米 10キログラム」での落札件数は6534件となっている。仮に1落札につき表記通りの重量が1袋落札されていると仮定すると、ヤフオクでは1日あたり約550キログラム(0.55トン)のコメが落札されていることになる。
ヤフオクで1日に流通するコメの量は
日本人の消費量の0.003%
先ほど試算した1日あたりの推定消費量である約1万8175トンとの比率で考えると、ヤフオクで流通するコメは日本人の消費量に対してわずか0.003%しかないのだ。
さらにフリマアプリの「メルカリ」「ラクマ」でも同様のコメの量が流通していると仮定したとしても、流通するコメの量は約0.009%にとどまる。0.009%という量は、収容人数が6万3700人の埼玉スタジアムでたとえると約6人にあたる。満員の埼玉スタジアムから6人がそっと席を立ったとしても、おそらく誰も気づけないだろう。
先ほどの検索では「2キログラム」や「30キログラム」のコメは検索に入っていないほか、「5キログラム×2袋」というような商品は正しくカウントできていないため、実際にはもう少し流通量が増える可能性もあるが、それでも価格に影響を及ぼすとは到底思えない。
5キログラム2000円のコメが放出されたことを機に流通量が増えることも考えられるが、わずか0.003%の取引しかなされていない個人間取引に大量の出品がされ、大幅に供給が増えた場合はそれに伴って相場も下がることが予想される。そうなると転売してもうまみはなくなる可能性が高い。