多様化する仕事の価値観
「静かな退職」を選ぶ人も

 1位は『罰ゲーム化する管理職』。

 そのストレートなタイトルに危機感を覚えた人も多いのではないでしょうか。本書は、雇用や組織の研究をしている著者が集めたデータと現場の声に基づき、管理職の「罰ゲーム化」を解消するための4つのアプローチが紹介されています。

 中でも、管理職の部下へのトレーニングを増やす「フォロワーシップ・アプローチ」や、管理職の役割を変更・共有することで、全体の役割や業務量を調整していく「ワークシェアリング・アプローチ」など、管理職の周辺で改善すべき点が多くあることを教えてくれます。

「管理職に向いていない」と一人で背負い込んでしまう必要はありません。経営層や人事部門を巻き込みながら、一つずつ改善していきましょう。

 3位にランクインした『部下をもったらいちばん最初に読む本』は、今年2月に発表された「読者が選ぶビジネス書グランプリ2025」で総合グランプリを受賞した話題作。選択理論を土台にした「リードマネジメント」を学んだことにより、メンバーや組織の飛躍的な成長を実現させた著者が実践したノウハウを学ぶことができます。

「お客様の役に立ち、喜んでもらいたい」と考える営業メンバーには「もう少しで成績上位に入れるぞ」と背中を押すよりも、「お客様のために、どのような支援ができるか?」とアプローチを変えたことで、メンバーの行動が変わったとのこと。メンバーのことを知り、適切な動機付けをすることで、成長につながっていきます。

 5位には、いま注目を集めている「静かな退職」を徹底解説した『静かな退職という働き方』がランクインしました。静かな退職とは、「企業を辞めるつもりはないものの、出世を目指してがむしゃらに働きはせず、最低限やるべき業務をやるだけの状態」のことを指します。

 本書では、静かな退職を選ぶ人に向けた働き方の指針やライフプランを提案するとともに、管理職・企業側はどのように対処すればよいかを指南してくれています。仕事と生活の両立がうまくできずに悩んでいるビジネスパーソンにとって、静かな退職を選択肢に入れることで、理想のワークライフバランスを手に入れることができるかもしれません。