これを提唱したカナダ・ブリティッシュコロンビア大学のカーネマン(編集部注/ダニエル・カーネマン。行動経済学者)とスタンフォード大学のトヴェルスキー(編集部注/エイモス・トヴェルスキー。行動経済学者)は、生死に関わる状況において、言い回しの違いが被験者の反応にどのような影響を与えるかを調査しています。
マジックフレーズの備えが
判断ミスの傷をいやす
大きな病気にかかっている600人を対象に行われたこの調査は、次の治療法のどちらかを選択するよう被験者に求めました。
治療法B:600人全員が助かるか、全員が助からないかのどちらかである道
被験者は治療法Aを選択する人が多かったといいます。
同じ治療法を次のように言い換えてみた場合も、調査しています。
治療法B:全員が助からないか、600人全員が助かるかのどちらかである道
すると、治療法B……すなわち、イチかバチかに賭ける人が圧倒的多数だったといいます。
同じ情報であったとしても、言い方を変えるだけで異なる印象を与えてしまうのです。こうした現象を「フレーミング効果」と呼びます。
であれば、言葉と上手につきあうことも、意思決定に大切なこととなります。
私は「あとでやろうはバカヤロウ」「どうせ1年後には(目の前の些細な不快なできごとを)覚えていない」といったフレーズを行動の指針にしています。
自分をコントロールするための言葉を用意しておくことで、想定外のことが起きてもダメージを抑えることができるんですね。「あ!選択を間違えた!でも、どうせ1年後には覚えていないし」。そう思うだけで、たとえ判断をミスしたとしても気持ちがフッと軽くなるのです。
マジックフレーズを用意しておけば、決断がしやすくなるし、自分が下した決断に納得がいかなくても、救いを見つける習慣が身に付くはずです。言葉が、あなたの決断を強靭にするのです。
人生の決断をコイン投げで決めると
幸福度が上がるというデータが
考え方次第では、どんな決断であっても後悔は伴わない……。それを示す好例が、シカゴ大学の経済学者、スティーヴン・レヴィットが行った調査です。