これは、「もし(if)○○が起きたら、そのときは(then)××する」と、台本をあらかじめ用意しておくというものです。前頭前皮質に機能障害をきたしている患者にも有効と言われ、認知脳科学の分野でも応用されています。

「もしラーメン店に入ったら(if)」→「食券機の一番左上が人気メニューだから、左上の商品を選ぶ(then)」

「もしAとBの洋服で迷ったら(if)」→「ウエストに余裕がある方を選ぶ(then)」

「もし睡魔に襲われたら(if)」→「その時点で、15分間目をつむって休む(then)」

 これが「イフ・ゼン・プランニング」です。

 ドイツ・コンスタンツ大学のアヒトジガー(編集部注/アンヤ・アヒトジガー。心理学者)らは、「イフ・ゼン・プランニング」を使った実験を行っています。学生を対象に、「もし私が選んだ○○(高カロリーな食べもの)を食べたくなったら、そのことを忘れる!」と、3回唱えさせ、1週間後に、どれくらいそれを食べたかを調べたのです。

 その結果、「イフ・ゼン・プランニング」を実践した学生は、実践していない学生に比べ、食べた量が半分近くまで減っていたといいます。

「絶対にそうする」というパターンを決めてしまえば、脳や体はスムーズにアクションしやすくなります。

 仕事の場合でも、「もし○○をやるときは、必ずここを注意して、終わったあともチェックする」というように行動を決めておくと、よく起こりがちなミスやストレスを回避しやすくなったりします。あらかじめ台本を作っているわけですから、仮にその決断に納得がいかなくても割り切りやすくもなるというわけです。