白衣を着た男性の後ろ姿写真はイメージです Photo:PIXTA

帝国データバンクが6月9日に発表した2025年5月の全国企業倒産(法的整理、負債1000万円以上)は835件となり、靴小売チェーンの「ロイヤル」(愛知、民事再生法、負債83億3000万円)や中華料理店経営の「聘珍楼」(神奈川、破産、同12億1000万円)などが倒産した。1月~5月累計でみると4134件で、前年同期と比べて54件増(1.3%増)とほぼ横ばいの推移となっているが、自動車部品大手「マレリ」の経営再建問題や「いわき信用組合」の不正融資問題、さらに7月にトランプ政権による相互関税の90日間の停止期限を迎えることなどを踏まえると、関連業界や取引先の業績悪化などに繋がるリスクは依然として高いままだ。こうしたなかで今年に入り倒産増加が目立っている業種に「中古車小売店」と「医療機関」がある。それぞれの業界の最新動向について解説する。(帝国データバンク 情報統括部 情報取材課長 阿部成伸)

中古車小売店は過去2番目のペース
13年ぶりに100件を超える見通し

 2025年の中古車ショップを経営する事業者の倒産は5月までに50件となり、前年同期(32件)と比べて56.3%の大幅増加となった。年120件ペースで推移し、過去最多の2009年(131件)に次ぐ高水準。13年ぶりに100件を超える見通しとなっている。

 都道府県別では、「東京」「埼玉」「愛知」(各5件)、「北海道」「神奈川」(各4件)の順で、負債規模別では「1000万~5000万円未満」が33件(構成比66.0%)で最も多く、1億円未満の小規模倒産が40件で全体の80%を占めている。

 コロナ禍の2020~21年に起きた半導体不足によって新車の生産が停滞し、納期遅れが生じたことで中古車市場に注目が集まった。納車までに半年、なかには数年待ちとなるなかで、新車を諦めて中古車を購入した人や新車納車までの期限付きで中古車を購入した人もいるだろう。

「コロナ禍に入り間もなくして中古車価格は高騰し、人気車種の中には新車価格を上回る金額で取り引きされるものもあった」(埼玉県内の中古車ショップ担当者)

 そうした需要の高まりから、在庫中古車の価格も上昇傾向するなど、利益率が改善する事業者もあったようだ。

 しかし、半導体不足の影響が徐々に解消されて新車生産が回復すると、中古車の販売価格に落ち着きがみられるようになった。