早めの夕食の効果は
肥満予防だけじゃない

 夜遅くの夕食は、循環器系にも悪影響を及ぼすとされ、心筋梗塞(こうそく)の発症が増加すると報告されています。

 筆者らも夜遅く食べることが心臓へ及ぼす影響について心拍のコサインカーブの観点から検討しました。

 図は15人の学生に起床時刻、就寝時刻、食事内容を同じにして、夕食を夜7時に摂る場合と11時に摂る場合で、心拍の変動がどのように変化するかを検討した結果です。

 両方の心拍のコサインカーブでリズムの形に関しては明らかな差はありませんでした。

 しかし、夜7時に摂食した場合、昼間高かった心拍は夜になって明らかに低下しているのに比べ、11時に摂食した場合、夜間の心拍の低下する割合が7時の場合に比べて有意に小さくなっていることがわかります。

 心臓は、昼に心拍を高く、夜は心拍を低くして、心臓自身の負担を軽くするのですが、夜間遅く食事を食べると負担を軽くすることができません。このような食習慣を継続すると心臓、血管系に慢性的な負担をかける可能性が考えられます。

 さらに、夜遅くの食事は消化器系にも悪影響を与えます。近年増加している逆流性食道炎を含む胃食道逆流症は、酸性の胃液が食道に逆流することで発生します。

 食後、食べ物は約3時間胃にとどまります。夜間は寝た姿勢のためで重力が働かず、唾液(だえき)分泌も減少するため、逆流した胃酸が食道内に長時間残ります。これにより逆流性食道炎が悪化し、睡眠障害を引き起こす可能性があります。