夜型の若い社員には少し問題もあるかもしれませんが、とにかく推進してみる価値はあると考え、実際にどのように運用しているのか、導入した後の社員の皆さんの反応はどうかなどを知りたくなりました。
そこで、I商事に協働研究をお願いしたのが、2014年2月のことです。
その後1年をかけて協働研究をさせていただきました。朝型勤務に対する社員の方の反応はおおむね好評で、健康の維持のためには、夜早く退社する習慣が重要な第一歩となると再認識しました。
朝型勤務は
出生率も上げる?
朝型勤務は、昼と夜の生理的役割「昼は覚醒し、活動し、そして食事を摂る時間である、夜は安静にし、絶食して、そして眠る時間である」という健康維持の大原則に近づくことができる勤務体系であると思います。
わが国全体でも2019年4月より働き方改革が施行され、残業時間の短縮が徐々に進んでいます。
一方、I商事は朝型勤務をさらに進化させ、2022年5月から、朝型勤務を朝型フレックスタイム勤務とし、固定勤務時間を午前9時から午後3時とし、午後3時からは早帰りを可能として、個人の生活状況に応じて朝型勤務を活かして柔軟に働けるシステムにアップグレードしています。
このようなI商事の働き方改革の効果は、健康維持にのみならず労働生産性の向上にも役立っており、健康経営が社員の利益だけでなく会社の利益にもつながると考えられます。

現在の日本の最も深刻な社会問題は少子化ですが、I商事の出生率は2009年の0.94から、朝型勤務導入後の2015年には1.54、2021年には1.97と著しく増加しています。
日本の少子化を改善させる1つの鍵が働き方改革にある可能性が示唆されます。
このように健康経営は社員、会社、国家のすべてを救う切り札になるかもしれません。すべての企業が各々のできる範囲でアイデアを出し、長時間労働を改善する方向に向かうことを希望します。
長時間労働の解消といった働き方の改革はわが国の睡眠不足や生活習慣病の改善といった健康問題だけにとどまらず、少子化という最重要問題の改善にもつながると考えられるため、早急に社会的改善を検討する必要があると考えられます。